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正常な運転資金は短期借入(タンコロ)で 融資してもらおう
2021.12.13
「正常な運転資金」という言葉、もし、ご存じでない経営者の方がいらっしゃいましたら、ぜひ覚えておいてください。
(1)正常な運転資金とは何か
正常な運転資金とは、企業が商取引をする中で、入金と支払の期間のずれから生じた資金不足を言います。
例えば、仕入の買掛金の支払いサイトが30日、売掛金の入金サイトが60日であったとしたらどうでしょう。
買掛金の支払は、売掛金の入金前に先に支払いをしなければなりません。
在庫を持っているような業態であれば、在庫の滞留金額も加味します。
これが、『正常な運転資金』です。
『正常な運転資金』の具体的な計算
売掛債権+在庫ー仕入債務=正常な運転資金
(2)売上が上がるほど、資金不足になる???
先ほどの、『仕入の買掛金の支払いサイトが30日、売掛金の入金サイトが60日』の会社は、売上が上がれば上がるほど、この差額の金額が増加します。つまり、売上が上がるほど、資金不足になります。
売上を受注したくとも、仕入金額の調達ができないと、受注ができない、ということが発生するのです。
(3)銀行融資の『短期継続融資』の活用
前述のように、正常な運転資金は、資金調達が必要です。
しかし、これを定額返済が必要な長期借入金で調達すると、商取引で発生した利益の中から定額返済していかなければいけないので、一定期間が経過するとまた資金不足が生じます。また、売上が上がれば、また追加で資金不足が生じます。
金融機関では、『短期継続融資』という言葉があります。
短期継続融資
期日一括返済を条件とした契約期間が1年以内の短期融資のこと。
期日到来時に手形貸付等の書き替えで融資をつなぎ、返済期限を延長する。
金融庁では、正常な運転資金の範囲内であれば、手形貸付の書換の方法の短期継続融資で対応することは何ら問題がない、としています。昔は『タンコロ』(短期書換で転がす)といいました。
この融資は、借入金を返済せず、利息のみを支払えばよいものです。無担保無保証で融資する代わりに、金融機関が定期的に事業内容を確認します。
正常な運転資金は、返済が必要な長期借入金でなく、『短期継続融資』で資金調達することが経営上安定した資金調達方法です。
金融機関からこの提案があればよいのですが、もし、提案がなければ、是非、会社側から『この金額は正常な運転資金なので、短期継続融資の手形貸し付けでお願いします。』と言ってみましょう。
以上、ご参考になれば幸いです。
税理士法人レガート 税理士 土田拓己
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