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「交際費1人5千円ルールの悪用事例」
2016.09.14
税理士法人レガートの“税務調査ブログ”。(Vol.113)
■「交際費1人5千円ルールの悪用事例」
大手ハウスメーカーのS社(大阪市)が、2015年3月期までの3年間で6億円の申告漏れを大阪国税局に指摘されていたことが一部報道で分かりました。そのうち5千万円については、接待交際費の「1人5千円」ルールを悪用した所得隠しと認定され、追徴税額は2億円を超えたそうです。
「1人5千円」ルールとは、得意先等に提供する飲食費に限り、1人当たり5千円以下であれば交際費から外して通常の損金扱いにできるというものです。
飲食をしたのが取引先などの外部の接待相手であることや、飲食をした日付、店名などを記録しなければならないなどの要件はありますが、1次会と2次会でそれぞれ適用できるなど、うまく使えば交際費を大きく抑えることができます。
S社はこのルールを使い、取引先との会食にかかった接待飲食費について、参加人数を実際より多く計上して1人当たり5千円に収まるように見せかけていました。
これらについて大阪国税局は仮装・隠ぺいに当たると判断。また他にも収入の計上時期を誤ったり、社内の飲食代を経費に計上したりするなどのミスがあり、総額約6億円の申告漏れがあったと指摘しました。同社はすでに追徴税額2億円余りを全額納付しています。
企業の交際費をめぐっては、2014年4月以降に開始する事業年度からは、企業規模を問わず、「飲食費の50%」を損金算入できることとなりました。そのため大企業では交際費以外の経費にするために、小まめな社内処理が行われているようです。しかし、S社の行為は事実を歪めた不法行為として否認さられました。
中小企業(資本金1億円以下)の場合には年間800万円という交際費の損金算入枠がありますので、年間の交際費の額が800万円以内であれば、わざわざ人数を増やして操作する必要などありません。接待相手が会社の業務に関連する人であれば堂々と損金にできますので、接待相手が誰であるかを明確にしておきましょう。
(つづく)
今回もお読みいただきありがとうございました。
税理士法人レガート 税理士 服部誠
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