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「家族名義の預金が相続財産と認定」

2015.11.18

税理士法人レガートの“税務調査ブログ”。(Vol.103

 

■「家族名義の預金が相続財産と認定」

 相続税は亡くなった方の財産が課税対象となるものですが、亡くなった方の名義でなくても、相続税が課されることが多々あります。

 今回は家族名義の預貯金が相続財産とみなされて、相続税が課税されたケースをご紹介します。

 納税者は不服として審判所に審査請求を行いましたが棄却されました。(平成19年10月4日採決)

 

 事案の内容は次の通りです。

○平成16年2月に被相続人Jが死亡。

○相続人は妻Lと子Kの二人。

○子Kは昭和58年以降、被相続人及び妻Lとは同居していない。

○郵便局から被相続人に係る郵便貯金の残高が預入限度額(1,000万円)を超過している旨の指摘を受け、限度額超過に係る減額の手続として、350万円を子K名義に、850万円を妻L名義にそれぞれ名義変更した。

○妻Lと子Kは、上記貯金等を相続財産とせずに相続税の申告を行った。

○税務署は妻Lと子K名義の預貯金の一部を相続財産と認定して相続税の更正処分を行った。

○両名はそれぞれの名義人固有の財産であるとして税務署の処分の取り消しを求めた。

 

 税務署の主張は次の通りです。

○相続人名義の貯金を含め、被相続人がこれらの郵便貯金全体を掌握し、支配下に置いていたと判断するのができる。

○妻Lの収入から形成された預貯金等の主張について、具体的証拠を明らかにしていない。

○預貯金等の資金の出所、目的、管理・運用状況等を総合して判断すると、本件預貯金等のうち妻L名義のものは被相続人に帰属すると認められる。

○子K名義の郵便貯金には、被相続人の定額貯金や被相続人の筆跡により預け入れられた定額貯金がある。

○被相続人の郵便貯金と子Kの郵便貯金相互間で名義書換や同一日に取引している事実もある。

○以上のことからすれば、被相続人は子K名義の郵便貯金を管理していたものと認められる。

○被相続人から妻Lに対し、贈与の意思表示がなされたかどうかは明らかでなく、贈与税の申告書を提出した事実もない。

○妻Lが贈与を受けたと主張する預貯金等は妻Lが独立して管理・運用し、処分方法を決定していたとは認められない。

○よって、被相続人から妻Lへの贈与の履行は終了しておらず、これらの預貯金は被相続人に帰属すると認められる。

 

 一方の納税者の主張は次の通りです。

○妻Lは、婚姻前から預貯金を所有し、婚姻後は被相続人了解のもと生活費をやりくりして自らの能力で貯めたヘソクリと一緒に預貯金運用等を行った。

○妻L名義の預貯金通帳及び証書は、妻Lの寝室にあるタンスの中で妻Lが管理していた。

○被相続人と妻Lとでは預貯金の解約時の端数の入金手続き等に違いがあり、その動きから見ても別々に管理・運用されていた。

○子K名義の郵便貯金は、子供のころのお年玉や親戚からのお祝い金等と、子Kが社会人となった後の毎月、生活費として家計に入れていた3万円の金員が原資であり、貯金の開設、入金及びその後の管理・運用も妻Lにおいてなされており、被相続人の管理下にあったとはいえない。

○従って、これらの預貯金はLとKの固有財産である。

 

 そして、国政不服審判所の判断は次の通りでした。

○基礎事実並びに認定事実から判断すると、被相続人は、郵便貯金全体を管理した上で、郵便貯金メモを記載し、被相続人名義の郵便貯金の減額を名義書換の方法で行うなど、同メモに記載された郵便貯金の処分権を有していたと認められる。

○妻Lの固有の収入は、相続財産として課税されていない預金に化体しており、郵便貯金から形成された本件預貯金等の原資たり得ない。

○子Kについても、両親と同居していた期間、生活費として月3万円の金員を家計に入れていた等との主張はあるが、これらの事実を認めるに足る客観的証拠はなく、同居していたとされる昭和53年から昭和58年は就職直後の数年間であり、仮に当該金額をすべて貯金したとしても約250万円程度であり、K名義定額貯金の原資たり得ず、不合理な主張といわざるを得ない。

○子Kが上記以外の原資は出捐していないことからすれば、郵便貯金から形成された本件預貯金等については、すべて被相続人が出捐したものと判断するのが相当である。

○当該定額貯金の届出住所も子Kの住所とは異なっている上、本件相続後に子Kに引き渡されていることから、被相続人が出捐したものと判断するのが相当である。

○その届出印も被相続人が専ら使用していた印鑑を用いていることからすれば、被相続人に贈与の意思があったと認めることもできず、請求人らの主張する贈与があったとは認められない。

○以上のことからすると、本件預貯金等はすべて被相続人が原資を出捐し管理していたものであり、請求人らに贈与した事実も認められないのであるから、相続財産である。

 

 いかがでしょうか。相続税の申告に当たりましては、相続財産となるか否かの判断名義だけでなく、預貯金であればそれが形成された経緯や、管理・支配の状況などを総合的に勘案して判断することが必要となります。名義だけで判断してしまいますと、後日の税務調査で申告漏れと指摘される可能性もありますのでくれぐれもご注意ください。
 

今後のご参考になれば幸いです。

 

(つづく)

 

今回もお読みいただきありがとうございました。

税理士法人レガート 税理士 服部誠

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