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「従業員の不正=会社の不正?」
2014.08.13
税理士法人レガートの“税務調査ブログ”。(Vol.77)
■「従業員の不正=会社の不正?」
ゼネコン大手の大成建設が2013年3月期までの3年間に約2億円の申告漏れがあったと新聞等で報道されましたが、このうち6000万円について東京国税局は、所得隠しを指摘していたことがわかりました。
その所得隠しの内容をよく見ると次のようなものでした。
「50代の幹部社員が大成建設の下請企業へ架空発注を繰り返し、裏金を捻出していた。そして、その裏金を幹部社員が私的なマンションの建設費用に流用していた。
この幹部社員は高層ビル工事などを担当する「作業所長」の立場にあったといい、下請企業に架空の発注を繰り返し、その代金を裏金としてプールさせていた。
幹部社員は千葉県内に4階建てマンションンを計画し、実質的に経営する管理会社に裏金をキックバックさせ、建設資金の一部に充てていた。」
つまり、大成建設自体が組織的に裏金作りをしたものではなく、一幹部社員の個人的な犯罪だったわけです。
しかし、東京国税局は、幹部社員の「個人の不正」を「会社の不正」とみなして、会社の所得隠しと判断し処分したのです。
「えっ?、従業員の不正が会社の不正とみなされる?」と、皆さん思われたかもしれませんね。
過去の裁決でも「従業員の行った不正経理行為は、会社の行為と同一視されるとして、重加算税の賦課決定処分を認容した。」(平成17年6月29日)という事例があり、そこでは次のように示されています。
『隠ぺい又は仮装の行為は、納税義務者たる法人の代表者に限定されるものではなく、従業員を自己の手足として経済活動を行っている納税者においては、隠ぺい又は仮装行為が代表者の知らない間に従業員によって行われた場合であっても、その従業員の行為を納税者の行為と同一視することが相当である場合には、法人自身が当該行為を行ったものとして重加算税を賦課することができるものと解するのが相当である。』
社長の知らない所で従業員が不正を行い、その結果が「脱税」となっていた場合でも、「私は知らなかった、私は関与していない」では済まされないのです。
従業員の不正を防ぐコンプライアンス体制を整えることは、税務の上でも重要だということを、この事件は教えてくれたような気がします。
今回もお読みいただきありがとうございました。
税理士法人レガート 税理士 服部誠
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