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「推計課税に要注意!」

2013.06.25

税理士法人レガートの“税務調査ブログ”。(Vol.43

 

■「推計課税に要注意!」

 税務調査を受けていると、困った状況になることがあります。調査官に質問された

ので、回答しようと思い、明細などの資料を探してみても、その資料が見つからない

場合です。

何も悪気があって資料を捨てたわけではないにせよ、資料などがなければ答えよう

もないわけですし、これでは税務調査自体も進まないわけです。

 

さて、このように資料などがないケースでは、税務調査はどうなるのか、というこ

とが問題になります。こういうケースに備えて、法律では「推計課税」という制度が

あります。

 

推計課税とは、資料などがない場合に、何か特定の金額・割合から、まさしく推計

で税額を算出する方法のことです。

 

 そもそも推計課税とは、

・悪意があって資料等を破棄した者にも課税できるようにするため

・悪意はないにしろ、資料等がない場合に正しい税額を算出するため

に設けられている制度だといえます。

 

 

 しかし、税務調査の現場では、調査官が無理にでも推計課税を使って課税しようと

するケースがあるので注意が必要です。

 

 たとえば、飲食店を3店舗営む会社で考えてみましょう。飲食店の場合、業種が異

ならない限り、店舗ごとの粗利率(粗利益÷売上)が大きく異なることはありません。

しかし現実には、顧客層が違う、割引券を発行しているなど、店舗ごとの粗利率がか

い離することもあるわけです。

 

 調査官は「店舗ごとの粗利率が大きく異なることはない」という点に着目し、「な

ぜこれほど店舗ごとに粗利率が違うのですか?」「粗利率が低い店舗で売上を除外し

ているのではないですか?」「原価を水増ししているのではないですか?」と疑って

くるわけです。

 

 しかしこの指摘に、調査官も何か決定的な証拠があるわけではなく、あくまでも数

字と理論上から疑っているにすぎません。

このようなケースで、調査官が「粗利率が店舗ごとにこれほど違うのはおかしい!

適正な粗利率を算出して、全店舗それに合わせてください。」などと、推計課税を強

要してくることもあるのです。

 

 推計課税はどんな場合でも適用できるものではなく、要件が3つあります。すべて

の要件が揃っていなければ、推計課税はできないのです。

 

① 内国法人(居住者)が対象であること 

② 更正(決定)する場合にだけできる

③ 青色申告者にはできない

 

 ですから、青色申告をしている会社は、調査官の指摘に従って推計課税を根拠とし

た修正申告を提出する必要はないのです。

強引に推計課税に持ち込む調査官もいますので、この3要件はぜひ知っておいてく

ださい。

 

(つづく)

 

今回もお読みいただきありがとうございました。

税理士法人レガート 税理士 服部誠

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