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退職に備え

2012.10.17

税理士法人レガートの“税務調査ブログ”。(Vol.20)

 

■退職に備える

前項に引続き、社長の報酬と退職金について説明したいと思います。

 

まだ引退を考えていない社長であっても、いつかは引退する、もしくは、何かあっ

た場合に引退せざるを得ないリスクは、経営上いつも考慮しておかなければなりませ

ん。そこで、引退するときに税務上もっとも問題となるのが、退職金の金額設定です。

退職金は毎月受け取る給料(役員報酬)と違い、かなり高額になりますし、退職金

で老後の生活等を考えるべきものですから、税金の面では優遇されています。つまり、

給料よりも、退職金の方が税金は安いのです。

 

ここで注意したいのが退職金の金額設定です。高い金額を支給してしまうと、税務

調査で「この退職金は高いです!」と言われてしまいます。「役員報酬と同じで退職

金すらも、自分で決めることができないのか・・・。」

ここでまず、退職金の金額設定に関して知っていただきたいことがあります。役員

の退職金の算定方法です。役員の退職金は通常、次のように計算されます。

 

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・適正な退職金=「①在任年数」×「②功績倍率」×「③最終報酬月額」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

この式を解説すると、「①在任年数」は社長(役員)を何年したかです。長ければ

長いほど、会社に貢献したということで、退職金の額は増えることになります。もち

ろんこの期間は操作できるものではありません。

 

「②功績倍率」とは、あまり聞きなれない言葉ですが、社長でいえばだいたい「3

倍」前後が目安になります。そして最後の「③最終報酬月額」。これはその名の通り、

引退するときの最後の月額報酬です。

 

例えば、社長を20年間してきて、功績倍率を3倍、最終月額報酬が100万円であれば、

退職金は6000万円ぐらいまで出しても、税務調査では文句を言われないだろうという

わけです。

 

ここで真面目な社長ほど、退職金で驚くことがあります。真面目な社長は、会社の

ためにと、自分の報酬を抑えている場合が多いのです。もちろん会社のことを考えれ

ば、それは良いことなのかもしれませんが、そのまま引退してしまうと、最終報酬月

額が低いので、退職金として損金にできる金額も少なくなってしまいます。

最悪の場合には税務調査において「役員退職金が過大です」と否認されてしまう危険

性にもつながります。

 

これは、会社の経営が厳しくなったときに、役員報酬を無理やり下げた場合も同じリ

スクがあるのです。

将来の役員退職金のことを考えると、役員報酬を大幅に変動(減額)させることは、

常にリスクがあるということは知っておいてほしい事実なのです。

 

(つづく)

 

今回もお読みいただきありがとうございました。

税理士法人レガート 税理士 服部誠

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