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税務調査が変わる②
2012.09.13
税理士法人レガートの“税務調査ブログ”。(Vol.16)
■税務調査が変わる②
前項で説明しましたように、来年からは調査官が帳簿や書類などを持って帰ったり、
コピーを撮ったりすることが正式にできるようになります。これは以前から実務上は
「普通」だったのですが、法律上許されるようになるわけです。
これに加えて、「留置き」の制度が新たにできることになりました。難しい言葉で、
かつ新たにできた法律ですが、意味合いは簡単です。調査官が必要だと判断するなら、
みなさんが調査官に提出した帳簿や書類などを、ずっと預かることができるというも
のです。
すでに税務調査を受けて、調査官に書類などを貸したことがある社長であればおわ
かりだと思いますが、帳簿書類を貸し出すときには、「預り証」なる書面を調査官が
発行しました。「これとこれを税務署で預かりますよ」と約した書面です。
しかし、この貸し出すという行為は、あくまでも改正前(今年まで)は会社側の
「任意」なわけです。調査官が「貸してほしい」と言っても、嫌だといえば断れまし
た。また貸したとしても、経理業務などで必要な場合は、「今すぐ返却してほしい」
といえば、調査官も任意で借りている以上、その要望を断ることができません。
今年も含めて今まではこのように、会社の意思で断れたりもした帳簿書類の貸し出
しが、改正後(来年以降)は法律で明記される以上、会社の「任意」ではなく、調査
官の「権限として」できるようになるのですから、前項と同じく、調査官の権限レベ
ルが上がった、もしくは新たな権限が追加されたと言っていいでしょう。
ちなみに改正後(来年以降)で、いったんは貸し出すにしても、「業務に支障をき
たすので、返却してください」と調査官に依頼すれば返却してくれるのか、もしくは、
いつになったら返却されるのかについては、法律上明記されていることではありませ
ん。正確に説明しておくと、法律にはこう書かれています。
「留め置いた物件につき留め置く必要がなくなったときは、遅滞なく、これを返還
しなければならない」
これでは、調査官(税務署)の判断で、返却するのかしないのかを決めることがで
きることになり、貸した会社が圧倒的に不利になります。
どちらにしても貸し出さなければならないのであれば、面倒ですが、コピーをとっ
てから渡すようにした方が無難だと言えます。
またこの制度ができても、調査官は何らかの書面(「預り証」ではなく「留置書」
のような名称になるのかもしれません)を発行することは変わらないものと思います。
(つづく)
今回もお読みいただきありがとうございました。
税理士法人レガート 税理士 服部誠
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