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「相続税の税務調査の対応策(1)」
2015.04.13
税理士法人レガートの“税務調査ブログ”。(Vol.90)
■「相続税の税務調査の対応策(1)」
「税務調査にうかがいたいのですが」――。
ある日突然、税務署からかかってくる一本の電話に、多くの人は驚くでしょう。
納税者の自宅へ赴いて調べる相続税の実地調査が入るのは、申告をしてから大抵1年以上も後です。税金を納め、相続財産の使途を決めた段になって、税務署はやって来ます。
実地調査が入るすきのない申告書を作るのが第一ですが、相続税の申告をすれば調査を受ける可能性は決して低くありません。ほとんどの人が経験のない実地調査は非常に緊張するものです。入念に準備をしておく必要があります。
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名義預金絡みの質問は慎重に回答しましょう
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実地調査は通常1日がかりで行われます。日程は、納税者側の希望を述べることができ、事前通知から2~3週間後の日程を組むことが多く、場合によってはそれよりも後になることもあります。午前のヒアリングの後、1時間の昼休憩をはさんで、午後は通帳や証券類など現物の調査が行われます。相続税の申告を税理士に委任している場合は、税理士も調査に立ち会います。
“本番”の日の午前10時――。税務署の調査官は二人で自宅にやって来ます。一人が質問をしている間、もう一人は記録を取りつつ相続人の表情をうかがっています。相続人がウソをついていないか、あるいは気になるものの方向に目線を向けないかをチェックしているのです。
大抵の調査官は紳士的で、ドラマで描かれるような怖い聞き取り調査ではありません。聞かれるのは親族の状況や被相続人がどんな人だったか、預貯金は誰が管理していたかといった事柄です。被相続人の口座から多額な出金がある場合には使途を確認し、時には家族名義の預貯金口座にまで話が及ぶこともあります。
調査官は、数時間という限られた実地調査の時間を1分1秒でも無駄にしたくないと考えています。ですから、質問には必ず意図があると考えた方が良いでしょう。調査官は事前調査で明らかになった事実を知りながら、それを隠して質問してきます。知り得た事実と相続人の答えに矛盾がないかを探っているのです。
答える側は、調査官が何を聞きだそうとしているのか、何を言わせようとしているのかを意識しながら答えなければなりません。表面上は雑談でも、そこには何らかの狙いがあります。
特に注意すべきは、名義預金につながる質問です。名義預金とは、通帳の名義が被相続人の家族のものであっても、その家族の収入などからすれば実質的には被相続人のものだろうと考えられる預金を指します。
たとえば妻が夫から月ごとに決まった生活費をもらい、使い切らなかった分を妻名義の口座に預金していたような場合。妻名義の預金を「へそくりだった」と答えてしまうと、名義預金、すなわち夫の財産とみなされ、相続税が課税される可能性が高くなります。「使い切らなかった分は夫からその都度、贈与してもらっていた」と答えるのが賢明です。
また、かつて妻の実家から贈与や相続があったケースにも注意が必要となります。「以前、奥さんの実家から贈与や相続はありましたか」と調査官に聞かれると、とっさに「なかった」と答えてしまう人が多くいます。かつての贈与や相続を問題視されるのではないかと考えるからです。
ですが調査官が問題視しているのは、かつての贈与・相続ではなく今の相続。妻名義の預金がどのように形成されたのかを知りたいのです。専業主婦でこれまで働いたことのない人が、過去に贈与や相続もなく多額の預金を持っている方が、疑いの目を向けられます。贈与や相続があったならば、はっきりとその事実を回答しましょう。
(つづく)
今回もお読みいただきありがとうございました。
税理士法人レガート 税理士 服部誠
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