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「社長が長男を伴って海外出張した時の渡航費用は?」

2015.02.12

税理士法人レガートの“税務調査ブログ”。(Vol.88

 

■「社長が長男を伴って海外出張した時の渡航費用は?」

 

会社の業務のために海外出張をする場合に、会社の役員や従業員が同行するのは問題ないことですが、社長の家族が海外出張に同行した場合の、その渡航費用はどのような扱いになるでしょうか。
実際に税務調査で指摘され、争いとなった事案がありますのでご紹介します。

日用雑貨の輸出入販売業を営む同族会社のA社が、社長の長男の海外渡航費を損金の額に算入したところ、税務調査で「社長に対する役員賞与」と認定されたことに対して、A社と税務当局とで争いになった事案です。

(平成15年2月13日裁決)

 

事実関係は次の通りです。

○代表取締役社長であるGと取締役であるH(Gの妻)は、国外の取引先であるK社へ海外出張する際、同人らの長男であるJを同伴し、Jに係る海外渡航費をA社の旅費交通費として損金の額に算入していた。

○Jは、各出張当時、7歳から9歳の小学生であった。また、JはGの扶養親族になっており、当然A社の役員又は使用人ではなかった。

○G及びHは、A社から毎月定額の役員報酬を受け取っていた。

 

会社の主張は次の通りです。

○G及びHが、その長男であるJを同伴した各出張の最も重大でかつ本質的な目的は、A社が日本の総代理店となっているK社の経営陣及びその家族と、G、H及びJが数日間一緒に交流し、相互理解を深めることであり、お互いが直接会うことにより初めて達成し得るものである。

○K社は、100年以上の歴史を持つ100%家族経営の同族会社であり、A社を初めとした総代理店に対しては、家族を含めた長期的な信頼関係を築き、次世代にもわたる交流を図り、相互の信頼を高め将来にわたって安定した継続取引をしてお互いに発展するという独特の考え方を持っている。

○K社は、JをA社の次期社長という見方をしており、次世代の事業継承者であるK社会長の孫との交流もK社にとって重要であるとの考えを持っている。

○Jの同伴は、各出張の出張目的を達成するために明らかに必要な同伴であり、A社が負担した各渡航費は、その目的を達成するために、通常必要と認められる費用である。

○さらに、Jの同伴は、K社の要請に基づき、同社の経営陣やその家族と直接会って交流を深めるという出張目的を果たすためのものであり、JはK社との会議にも出席している。

○したがって、Jの同伴は明らかに業務遂行に必要であり、海外渡航の目的を達成するために必要な同伴であることは明白であるから、本件各渡航費の損金算入が認められるのは当然である。

 

これに対して、税務署は次のように反論しています。

○各渡航費は、JがA社の役員又は使用人ではなく、通達の例外的な取扱いとして例示するいずれの場合にも該当せず、役員がその親族を海外渡航に同伴しその旅費を負担した場合に該当するので、その役員に対する給与(賞与)となる。

○K社からの同伴要請の有無、K社経営陣やその家族との交流、Jの会議への出席といった事情は、各出張当時7歳から9歳であったJにとっては、A社との雇用関係もなく法律行為をなすこともできないことから無関係な要素である。

○A社が主張する同伴については、無条件に認められるものではなく、その同伴が要件となっている国際会議に出席する場合等に限定してその海外渡航の目的を達成するために必要と認められるものであり、A社の主張には理由がない。

 

最終的に国税不服審判所では次のような判断を下しました。

○各出張後にG及びHが作成した海外出張精算書には、各出張におけるK社との面談内容又は出張目的が記載されていることから、この内容から判断すると、G及びHの各出張は、請求人の業務遂行に必要なものと認められる。

○しかしながら、Jの同伴については、各出張の時においてJが7歳から9歳の小学生であり、Gの扶養親族となっており、当然のことながら、A社の役員又は使用人でもない状況及び各出張の出張目的から判断すれば、A社の業務遂行のために必要なものとは認められない。

○Jの各同伴がK社の要請によるものであり、各出張によってGらとK社経営陣及びその家族との次世代交流が図られていたとしても、そのことが、A社の業務遂行に関係するとは認められない。

 

以上のことから、各渡航費はA社の業務遂行上必要な費用とは認められず、Jを扶養親族とするGが個人的に負担すべき費用であり、Gに対する臨時的な給与(賞与)とするのが相当であり、本件各渡航費を役員賞与であるとした税務署の更正処分は適法であると判断しました。
いかがでしょうか。海外出張の費用精算に関しては、必ずといって良いくらい税務調査の対象となります。特に同伴者がいる場合には、その必要性と業務関連性をしっかりと説明できることが重要といえます。

今後のご参考になれば幸いです。

 

(つづく)

 

今回もお読みいただきありがとうございました。

税理士法人レガート 税理士 服部誠

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