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「家族名義の預金でも相続財産!?」
2014.09.24
税理士法人レガートの“税務調査ブログ”。(Vol.80)
■「家族名義の預金でも相続財産!?」
相続税の税務調査で申告漏れが指摘される最も多い財産は「現金・預貯金」です。実に申告漏れ財産の4割近くにもなります。中でも、亡くなった方(被相続人)が管理・運用していた家族名義の預金等を、相続財産として申告していなかったケースが多いようです。
最近の裁判例でも次のような事案がありました。(平成25年、東京地裁)
家族名義の預貯金について、被相続人と家族との間で生前贈与するという内容の「贈与契約」が成立していたか否かを巡って争われた事案です。
東京地方裁判所は次の事実から生前贈与が成立していたとは認められず、家族名義の預貯金は被相続人の財産であるとして、家族(相続人)の訴えを棄却しました。
≪主の認定事実≫
・家族名義の預貯金への預け入れは、毎年、贈与税の非課税金額の範囲内で預け入れられていた。
・預貯金を贈与する旨の書面(契約書)は作成されていなかった。
・家族名義の預貯金口座は、いずれも被相続人が自らの財産を原資として開設していた。
・被相続人は、家族名義の預貯金口座からの解約金を自分の口座に入金し、その口座の資金で被相続人名義の土地を購入していた。
・被相続人は、家族に対して届出印を返還したが、預貯金に係る証書は自ら保管していた。
つまり、被相続人は、相続対策として、毎年、贈与税の非課税限度額内で家族の名義で預貯金の預け入れを行っていたのですが、預貯金の証書は自ら保管して家族には交付せず、被相続人自身に具体的な資金需要が生じたときは、必要に応じてこれを解約し、自らが使用していたのです。
これらのことから裁判所は、被相続人が家族名義の預貯金口座に預け入れていた事実は認めたものの、被相続人から家族に対して、家族名義の預貯金の生前贈与があったとは認められないと判断し、家族名義の預貯金は被相続人の相続財産であるという結論を下したのです。
相続税の申告実務におきましては、家族名義の預貯金は常に問題となります。税務当局から相続財産と指摘されないためには、次の点に配慮するようにしましょう。
◇贈与契約書を作成する(受贈者が未成年者の場合は親権者が合意した旨の契約書を作成する)
◇贈与した預貯金の通帳や印鑑は受贈者に渡し、受贈者に管理・支配させる。
◇贈与税の非課税限度額を超える場合には、期限内に贈与税の申告納税を行う。
(つづく)
今回もお読みいただきありがとうございました。
税理士法人レガート 税理士 服部誠
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