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重加算税のデメリット

2023.09.20

脱税のニュースなどを見ますと、「重加算税を含め〇〇円を追徴課税」といった表現をよく見かけます。
文字面からも怖そうな印象を受けますが、重加算税を賦課されるとどうなってしまうのでしょうか。
今回は重加算税のデメリットについて解説したいと思います。

加算税とは

まずは重加算税を含めた「加算税」について確認しておきましょう。
加算税とは、税額が過少であった場合や、申告書の提出や納税が期限を過ぎてしまった場合に、本来の税金とは別に課せられる附帯税です。国税に関しては次の4つの加算税があります。

  1. 過少申告加算税
    当初の申告税額が過少となった時に課される附帯税で、納付すべき税額に対して10%(当初申告の税額と50万円とのいずれか多い金額を超える部分は15%)の税率で課されます。
  2. 無申告加算税
    正当な理由もなく期限内に申告しなかった場合に課される附帯税で、納付すべき税額に対して15%(50万円を超える部分に対しては20%)の税率で課されます。
  3. 不納付加算税
    源泉徴収による国税が正当な理由もなく、期限内に完納されなかった場合に課される附帯税で、本税に対して10%の税率で課されます。
  4. 重加算税
    納税者が税額等の計算の基礎となる事実を隠蔽や仮装をして不正な納税申告をした場合に課される附帯税で、過少申告や不納付の場合は納付すべき税額に対して35%、無申告の場合には納付すべき税額に対して40%の税率で課されます。

重加算税の賦課基準

4つの加算税のうち過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税の3つについては、その理由が「うっかりミス」や「計算誤り」「法律の理解不足」など、不正があったとまでは言えない状況の時に課されるものになります。
一方、税率が最も高い重加算税は、意図的に不正を働いたと判断されたときに課されるものとなっており、法律上は、税額等の計算の基礎となった事実を「隠蔽」又は「仮装」した場合に重加算税を課すとなっています。
例えば、書類や帳簿の改ざん・偽造・変造、虚偽の表示、破棄や隠匿といった事実が判明すると重加算税の賦課に繋がります。

重加算税のデメリット

実際に重加算税を課されると、納税者は次の4つのデメリットに直面します。

1つ目は、単純に加算税の額が高いということです。
前述の通り、重加算税は他の加算税に比べて税率が高く設けられています。
例えば、申告漏れが発覚し本税で100万円の追加の納税となった場合、隠蔽や仮装がなければ10万円(本税100万円×10%)の過少申告加算税になりますが、重加算税となると35万円(本税100万円×35%)と、より多くの税金を納めなければならなくなります。

2つ目は、延滞税も高くなる点です。
延滞税は、納期限を過ぎてしまった時に課される附帯税で、遅れた分の利息に相当します。延滞税が発生するのは通常、納付期限から1年間のみで、1年間を超えた期間については原則かかりません。
しかし、重加算税が課される場合には納付が遅れている間は際限なく延滞税が課されてしまいます。
仮に納期限から3年後の税務調査で修正申告を行ったケースでは、通常であれば1年分の延滞税で済むところが、重加算税の対象となると延滞税は納付が完了するまでかかり続けるため3年分に膨れ上がります。

3つ目は、法人や個人事業主のケースになりますが、重加算税が賦課された後は税務調査の頻度が一気に上がります。
税務署は税務調査の効率化を図るため、過去に不正があったところを重点的に調査していくことを明らかにしています。通常の中小企業の税務調査のサイクルが5~10年に1度位とすると、重加算税を賦課された後は3~5年に1回位の間隔に縮まる可能性があります。

最後のデメリットは、過重措置によっても税率が上がるという点です。
重加算税の対象となる不正行為が5年以内に再発した場合には、税率が更に10%加重されて45%になります。例えば、3年前に重加算税を課された後、再び税務調査を受けて不正行為による申告漏れが発覚して100万円の追加本税が生じた場合、重加算税の税率は45%となって45万円を納付しなければならなくなります。

「バレたら払う」と軽い気持ちで節税(?)処理をするケースがあるかもしれませんが、意図的な税金逃れに対するペナルティーは決して軽くはありません。

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税理士法人レガート 税理士 服部誠

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