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《突然訪れる相続税の税務調査》(第1編)
2014.01.16
税理士法人レガートの“税務調査ブログ”。(Vol.63)
≪突然訪れる相続税の税務調査≫(第1編)
■「忘れた頃にやってくる相続税の税務調査」
「相続税の申告書についてお話をうかがいたいんですが」―。
相続税の申告から1年~1年半が経ったころ、そんな電話がある日突然、税務署
から掛かってくることがあります。それが相続税の税務調査です。
しかし、ほとんどの人にとって税務調査は未経験。突然の電話に慌てふためき、
恐怖心を覚える人も少なくありません。
相続税の税務調査はどのように進み、どんなポイントを調べられるのか。
2年ほど前に夫を亡くしたAさん(73)を仮定して、税務調査の実態と対策を
紹介しましょう。
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税務署からの電話の2週間後。東京郊外の住宅地にあるAさんの自宅に午前10時、
相続税担当の国税調査官が2人やってきた。
相続税の申告をお願いした税理士にも来てもらい、応接間のテーブルをはさんで
調査官と対面する。1人はベテラン、もう1人は若手。若手の調査官は分厚いファイ
ルを持ち、メモの準備に余念がない。
Aさんの夫は昔からの地主の家系で、近隣に賃貸アパートなどを所有。相続税評
価額は4億円で、専業主婦だったAさんと長男(48)、次男(45)、長女(43)の
4人が相続人。
調査官の質問は家族構成の確認に始まり、それぞれの職業や年収、所有する不動
産などを細かく尋ねてくる。
調査官「ところで、ご主人はゴルフなどの趣味はお持ちだったのですか」
Aさん「ゴルフはしませんでしたが、旅行が好きで家族一緒に温泉などへよく行っ
てました。子育てもあまりしない人だったので、せめてもの家族サービス
だったんでしょう」
調査官「奥様の子育ては大変だったでしょうね。お仕事の経験は?」
Aさん「見合いで結婚するまでは、家業の手伝いをしていましたが、結婚後はずっ
と専業主婦です」
調査官「ご主人から生前に贈与を受けたことは?」
Aさん「いいえ、ありません」
故人に関するさまざまな質問を終えたところで、ベテラン調査官が腕時計をちら
りと見やった。間もなく正午。「いったんお昼休みで失礼します」と、調査官2人
が出て行った。
再開は午後1時。雑談もそこそこに「それでは家の中を見せてもらえますか。」
ベテラン調査官が切り出す。応接間を出た廊下のところで、調査官が足を止めた。
調査官「このカレンダーはX銀行のものですが、申告書にはX銀行の口座はあり
ませんでしたよね」
Aさん「X銀行に勤めている私の知人からもらったものです」
調査官「通帳や印鑑はどこに保管していましたか」
Aさん「寝室のタンスの引き出しです」
調査官「そこも見せてください」
調査官を寝室に案内し、引き出しを開けた。夫の印鑑のほか、Aさんの通帳や
印鑑もしまってある。Aさんに夫が使っていた印鑑を出してもらい、調査官は朱
肉をつけずに手元の紙に押した。かすかに朱肉の跡が残る。
調査官「最近、ご主人の印鑑を使ったのですか?」
Aさん「慌てて自分の印鑑と間違えてしまって…」
調査官「そうですか。念のため、奥様の通帳も確認させてくださいね。それと、
旅行がご趣味だったそうですが、アルバムの写真はありますか?」
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調査官の質問にはすべて意図があります。午前中の会話から次なる調査の材料を
探し出し、午後はその証拠資料の確認をするのがメインとなります。
何気なく聞いていた雑談にも、調査官の意図がしっかりと組み込まれていますので、
気を抜かずに対応しなければなりません。
(つづく)
今回もお読みいただきありがとうございました。
税理士法人レガート 税理士 服部誠
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