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修正申告と更正の違い〈2〉

2013.11.25

前回からの続きで、「修正申告」と「更正」の違いを解説していきましょう。
前回説明したように、修正申告と更正を比べてみると、税務調査を受ける側から考えると、どちらが不利ということはなく、むしろ不服申立てできる権利を得ることができるという意味では、更正の方が有利なのです。(もちろん、更正されても不服申立てしないという選択もできます。)

実は逆の立場から考えると、税務調査で誤りがあった場合に、修正申告を出してほしいのは調査官(税務署)の方なのです。

調査官が修正申告を提出してほしいと考える3つの理由

調査官が修正申告を提出してほしいと考える3つの理由を挙げます。

(1) 不服申立てが前提となっている

更正(処分)をすると、かなり高い割合で納税者から異議申立てが行われます。

異議申立てとは、更正処分をした(つまり税務調査をした)税務署に出されるもので、税務調査を担当した調査官とは違う調査官が実質審理(再調査)を行わなければなりません。つまり、税務署からすると税務調査の二度手間ということで、事務量が増えるわけです。

(2) 否認指摘の理由が曖昧

税務調査において調査官が否認指摘をしたものの、その根拠が非常に曖昧であることが多くあります。税務調査の結末が修正申告の提出ということであれば、その根拠がいくら曖昧でも、「納税者が納得して提出するもの」である以上、問題にはなりません。しかし、更正となると、否認根拠を法令等で明確にしなければなりません。実は税務署側からすると、否認に関しての明確な理由を挙げるのが最も難しいことなのです。

(3)税務署内の手続きが面倒

納税者が修正申告を提出すれば、基本的に調査官が上司(統括官)の決裁を得るだけで税務署内の手続きは終了します。しかしこれが更正ということになると、簡単な手続きでは終わりません。更正をする場合、金額にかかわらず税務署長の決裁が必要になります。調査官は、統括官・副署長・署長と3人の決裁を必要とし、税務署内の手続きが非常に面倒であるため、調査官はやりたがらないのが実情なのです。

 

このように、税務調査で誤りがあった場合、そのほとんどが修正申告で終わるのは調査官側の要請なのです。

もちろん、税務調査の中で調査官の否認指摘に納得したのであれば、修正申告を提出する方が望ましいことは事実です。その方が税務調査は早く終わるのですから。
しかし、納得できずに修正申告を提出してしまうと、後戻りができません。
是非、この違いを理解して税務調査に臨んでいただきたいと思います。

税理士法人レガート 税理士 服部誠

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