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期末に決算賞与を未払計上するための要件
2021.10.14
「今期の決算は予想以上に利益が出たので、これを社員に還元して、来期も頑張ってほしい。」
過度な節税商品に投資をするよりも、社員に還元したいと考えるのは経営者としては王道の判断ですね。
会社の利益は還元すべきものです。従業員に賞与として還元、役員賞与として還元、株主に配当として還元、税金は社会に還元、残りの内部留保は会社の未来(緊急時対応、新商品新市場開拓、等)に還元です。
この還元の中で、法人税法上損金になる可能性があるのは【従業員の賞与】だけです。
ほかは原則として損金にはなりません。役員賞与を損金にする方法としては、事前確定給与として特別な届け出をしたときのみに可能です。
さて、期末に未払の状態で決算賞与を損金にする、という便利なことはできるでしょうか。
これは、少し注意が必要です。
必要な条件をきちんと整えておかないと、損金にはなりません。
社員の決算賞与を未払計上した時の損金になる要件
法人税の計算では、従業員に対する賞与は、原則として事業年度内で実際に支払をした場合に損金として計算できます。
ただし、下記の3つをすべて満たすと、期末に未払であっても損金にすることができます。
- その支給額を各人別に、かつ、同時期に支給を受けるすべての従業員に対して通知をしていること
- その通知をした金額を、その通知をしたすべての従業員に対し、その通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1ヶ月以内に支払っていること
- その支給額につき、その通知をした日の属する事業年度において損金経理(経費計上)をしていること
(参考条文 法人税法施行令 第72条の3 使用人賞与の損金算入時期)
支給日に在籍する従業員に賞与を支給することとしている場合
会社の給与規定などに「支給日に在籍する従業員に賞与を支給する」と規定(支給日在職要件)されていることがあります。
この「支給日在職要件」がある会社については、上記の【支給額の通知】には該当しないものとして取り扱われています。(参考条文 法人税法基本通達 9-2-43)
期末から支給日までに実際に退職した社員がいない場合であっても、この支給日在職要件がある会社は未払計上が認められません。
税務上は、「従業員の通知を期末までに行い、これを必ず支払う」からこそ、未払計上が認められています。
期末に通知をしても「支給日に在籍していなければ支給しない」という給与規定が優先されてしまうと、「支払しない可能性があるのに未払計上を認める」という状態が生まれます。
決算で未払計上するときは、『給与規定の確認』が不可欠です。どうぞお忘れなきように。
以上、ご参考になれば幸いです。
税理士法人レガート 税理士 土田拓己
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