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棚卸が経営に重大影響を及ぼしてしまうことをご存知ですか
2021.07.21
棚卸資産とは
棚卸資産とは、販売の目的で所有している『商品』、製品を生産するための『材料』、消耗品等のうち使っていない『貯蔵品』などのことを言います。一般的に『在庫』と呼ばれています。
棚卸資産の例
- 商品・製品:販売目的で保有しているもの
- 半製品・副産物:未完成の製品、製造過程で発生したもの
- 原材料:製品製造のために保有している材料
- 貯蔵品:包装資材、パンフ、消耗品のうちまだ使用していないもの
このほか、販売用の不動産も棚卸資産です。
会計事務所から『棚卸をしてください』と言われるのはなぜか
棚卸資産を持っている会社は、会計事務所と顧問契約があれば、必ず『棚卸をしてください』と言われているはずです。
重要性が低いときは年一回の棚卸にしている会社もあるかもしれませんが、原則は毎月棚卸をして在庫の金額を確定します。
この在庫の計算は、損益計算の重要なデータで、在庫計算をしなければ利益が確定しないので、必ず会計事務所は在庫の棚卸を会社に依頼します。
具体的には下記のような計算を行います。
【1】売上 10,000,000円
【2】売上原価 (1)+(2)-(3)=2,000,000円
(1) 期首在庫 1,000,000円
(2)期中の仕入 3,000,000円
(3)期末在庫 2,000,000円
【3】売上総利益 【1】-【2】=8,000,000円
このように、期末の在庫のデータが分からないと、『売上総利益』が計算できません。
ではこの時、期末在庫が、2,000,000円でなく、3,000,000円であったら、どうなるでしょうか。
売上総利益
【3】売上総利益 10,000,000-(1,000,000+3,000,000-3,000,000)=9,000,000円
このように、在庫が100万円増加すると、売上総利益が800万円から900万円に増加します。
期末に会社に残っている在庫は、原価に入れることができませんので、その分、利益が多く計算されるのです。
この期末在庫は、翌期に販売されるので、翌期の原価となります。
結果として決算の時に在庫が多く残っていると、利益がその分増加します。
これは会計上のお話。
では、経営の実態にはどんな影響があるのでしょうか。
経営と資金繰りに重大な影響を及ぼす
会計の利益計算では前述のように、在庫は大きな影響を与えますが、経営の実態にも大きな影響があります。
在庫が多くなると
- 投下資金が滞留する→資金繰りが悪化する
- 管理コスト・在庫の維持コストが増加する
- 倉庫などの地代家賃が増加する
- 陳腐化・劣化、さらに廃棄損のリスクが増加する
このように、在庫が過大であると経営に悪影響が生じます。『決算、在庫処分!』などと、決算に向けて在庫を少なくするのは、こんな理由もあります。
しかし、通常の事業活動では、在庫が少ないことで販売の機会損失(すぐに販売できない)が発生します。
在庫を持つことで、よりスピーディーに販売活動ができることも間違いありません。
では、適正在庫とはどのように考えるべきでしょうか。
最適発注量や経済的発注量といった、大企業が計算する理論値も意味はありますが、中小企業では理論値が当てはまらないことも多くあります。
理論的計算による在庫量の算定よりももっとシンプルに考えるほうが良いと考えます。
- リードタイムを確認し、最低必要在庫とする(これを目指す)
- 商品回転率を計算して毎月確認する(多すぎないかチェックする)
- 機会損失が出ないように、売れ筋商品の在庫は確保する(少なすぎないかチェックする)
- 『不良在庫』『陳腐化在庫』を徹底してなくす
上記(1)のリードタイムとは、『発注から納品までの期間』です。発注から納品までの期間の在庫を所有しておけば、理論的にはこの在庫で回るはずです。
しかし、実務上、ギリギリの在庫ではリスクがありますので、リードタイム計算の在庫の1.5倍から2倍までの範囲内で在庫を所有する、というのが良いようです。
まず、経営上行わなければならないことは、実地棚卸による現状把握です。
問題になるのは、『不良在庫』『陳腐化在庫』『過大在庫』の3つです。
現状把握ができたら、『不良在庫』『陳腐化在庫』『過大在庫』を毎月チェックし、これを徹底的に改善する風土を社内に根付かすことです。
在庫はお金が寝ている、ということを社内に浸透させると、問題在庫の削減につながります。
以上、ご参考になれば幸いです。
税理士法人レガート 税理士 土田拓己
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