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相続税の税務調査の事前対策(その12)【最終回】
2020.11.20
今回も前回の記事「相続税の税務調査の事前対策(その11)」に引き続き、「相続税の税務調査の事前対策」の12回目をお送り致します。
今回は「相続税の税務調査の事前対策(その12)」です。
では、ご覧下さい。
調査官が作成する「質問応答記録書」
税務調査の現場では、実地調査が一通り終わった段階で、調査官から「質問応答記録書を作成するので署名捺印してください。」と依頼されることがよくあります。
この依頼に対する対応も非常に重要なポイントになりますので注意してください。
この「質問応答記録書」という書類は、調査官自身が納税者(相続人)との質疑応答の内容を文章で作成し、その書類の末尾に納税者に署名捺印してもらうというものです。
この文書は、何らかの申告漏れが見つかって修正申告する流れになった場合に、納税者がどのような理由で申告洩れをしてしまったのかを明らかにする文章になっていることがほとんどです。
つまり、「自分(納税者)が申告漏れ(除外)という悪いことをしました。」ということを書面で残そうとするわけです。納税者としては、反省文を出せば処分が軽くなるのかと淡い期待を持ってしまうかもしれませんが、そんなことはありません。むしろ逆です。
これは、納税者に反省を促すために作るものでは決してありません。
調査官にとって後で都合の悪い展開にならないように「納税者自身の自白文」を取っておくこと。そして、意図的に税金から逃れたことを納税者に認めさせて「重加算税をかける証拠資料」にすること、という二つの目的があるのです。
反省文を書いたことによって処分が軽くなるどころか、不正を認めた証拠を自ら提出することになるのです。
では、そもそもどんなときに調査官が「質問応答記録書」に署名捺印を求めてくるのでしょうか?それは、調査官のほうでも課税する根拠が今一つ乏しかったり、重加算税を賦課するための“仮装・隠ぺいした事実”の証明が難しいような場合です。
このような場合に、納税者自身に不正をしたことを認めさせた文書を作成しておき、後日のトラブル防止に役立てようとしているのです。
ですから、調査官から「署名してください」と言われても、そのまま応じる必要はありません。調査官が作った書類にサインをすることも印鑑を押す必要もありません。
この質問応答記録書は『任意の文書』ですので、署名捺印を求められても断ることはできるのです。
そして、質問応答記録書に署名捺印しても、納税者にとっては何らメリットになることはないのです。
ですので、調査官から質問応答記録書への署名捺印を求められたときは、「これは任意の文書ですよね。署名しなければならない決まりはないのでお断りします。」とはっきりと断りましょう。
それでも調査官がしつこく署名を求めてきた場合には、次のように言ってください。
「あなたは署名を強要するのですか。」
調査官は「強要」という言葉にはとても弱いのです。この言葉が出た瞬間、この話題は終わります。繰り返しになりますが、質問応答記録書は調査官にとっては有効な書類となりますが、納税者にとっては何のメリットもない書類です。あくまでも任意の文書ですので、臆することなく署名捺印は断るようにしましょう。
事前の準備と対策がとても重要な税務調査
延べ12回に渡り「相続税の税務調査の事前対策」というテーマで解説させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。
税務調査は事前の準備と対策がとても重要です。事前に準備と対策をしておくことで調査当日の不安もだいぶ解消されるはずです。
今回のシリーズで皆様の税務調査に対する恐怖心や不安が少しでも払拭されましたら幸いです。
また、税務調査を始め、相続にお困りの皆様をサポートする様々なサービスをご用意いたしております。
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税理士法人レガート 税理士 服部誠
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