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相続税の税務調査の事前対策(その11)
2020.11.10
今回も前号「相続税の税務調査の事前対策(その10)」に引き続き、「相続税の税務調査の事前対策」の11回目をお送り致します。
今回は「相続税の税務調査の事前対策(その11)」です。
では、ご覧下さい。
ヒアリングを基に行われる現物確認調査(3)
前回に続き、ヒアリング終了後の現物確認調査の解説3回目(最終回)になります。
午前中のヒアリングで得た情報と事前調査で得た情報を突合し、矛盾点についての事実関係や裏付けを確認したり、事前調査で不明だった事項を探し出す作業が現物確認になります。どのようなものを確認して申告漏れの発見に繋げていくのか、調査官の行動を想像しながら読み進めていただけると幸いです。
なお、項目のナンバーは前号からの通し番号になりますのでご了承ください。
【前号までのバックナンバーはこちらです】
税理士法人レガート 税務調査ブログ
7)葬儀の際の香典帳や芳名帳の確認
ヒアリング内容のところでも触れましたが、相続税の実地調査の際には葬儀の際の香典帳や芳名帳を見せて欲しいと調査官から求められます。
理由はヒアリング内容(相続税の税務調査の事前対策(その7))の解説の通り、銀行や証券会社、保険会社といった金融機関の人が来ていないかどうかを調べるためです。
今年に関してはコロナの影響で密葬や家族葬が増えており、弔問客もなるべく少なくして葬儀を行っているケースも多いと思いますが、今行われている相続税の税務調査は数年前に亡くなった方に関する調査ですので、香典帳などのチェックは必ず行われる項目になります。
話しを戻しましょう。相続税がかかるような多額の取引があった顧客が亡くなった場合には、銀行などの担当者や場合によっては上層部の人が葬儀に参列したり、供花などを贈っているケースが考えられます。
もし、香典帳や芳名帳に金融機関の人の記載がある場合には、それらの金融機関との取引が相続税の申告書に反映されているか、つまり、それらの金融機関の預貯金や有価証券などが財産として申告されているかをチェックするために、彼らは香典帳や芳名帳を確認するのです。
厄介なのは、金融機関の人が葬儀に参列していたり供花が贈られているのに、その金融機関に関する財産が相続税の申告書に記載されていない場合です。そのようなときには、調査官は必ずその金融機関との関係を質問してきます。
従って、実地調査前には念のため香典帳や芳名帳を確認して、そのようなケースの場合にはきちんと説明できるようにしておくことも必要です。
会社での取引があった銀行だとか、息子の友人や仕事上の取引先ということもよくあることです。慌てずありのまま答弁すれば問題ありません。
8)手帳・アドレス帳・日記帳の確認
亡くなった人の日々の生活や交友関係を調べるうえで、調査官が参考にするのがこの3つです。これらの中から財産に繋がる記載がないかを探ろうとするのです。
「手帳やアドレス帳は残っていますか。」「日記帳は書いていましたか。」という質問がきたら、目的は財産に繋がるヒント探しと思ってください。
従って、「あります。」と答えると、「見せてください。」という展開になるので、答え方には十分注意しましょう。決して虚偽の答弁を勧める訳ではありませんが、ない場合には「ありません。」と答えて頂ければ大丈夫です。
「棺に入れてあげました。」という方も過去にはいらっしゃいました。
9)室内の確認
これは必ず行われることではありませんが、調査場所が被相続人の自宅であった場合には、室内を見せて欲しいと求めてくることもあります。
通常の税務調査は任意調査ですので、納税者の理解と承諾がなければ調査官は勝手に家中を見て回ることはできません。そのため、室内を確認したい場合には納税者に理由を説明し承諾を得てからでないとできないのです。
「この部屋は寝室で散らかったままなので困ります。」とか「病気の母が寝ているのでその部屋は困ります。」といった理由で断ることは何ら問題ありません。調査官が見たい理由は、室内に絵画や骨とう品、調度品といったものがないかどうかを確認したいのです。
ただし、「相続税の税務調査の事前対策(その9)」で述べた「貴重品の保管場所」は調査官が必ずチェックする事項になっていますので、こちらは事前に整理しておくとよいでしょう。
10)銀行の貸金庫の確認
こちらもヒアリング内容のところで触れましたが、貸金庫を利用している場合にはその保管物を必ず確認に行きます。しかも、実地調査のその日のうちに行きます。
そのため、私が調査立会をするお客様の場合には、事前の打ち合わせの段階で貸金庫の現在の利用状況を確認し、もし、継続して利用されている場合には中身を確認して頂き、調査官に誤解を与えるものが入っていないかどうか整理をしてもらっています。
調査場所となる自宅内のことには皆さん注意を払うのですが、意外と貸金庫までは頭が回らないようで、手付かずのまま放置されているケースが多いのが実情です。しかし、実地調査では確実にチェックが入るところですので気を付けるようにしましょう。
以上、3回に渡り現物調査の内容について解説させていただきました。
調査官が事前に入手した情報や資料と突合して、申告された財産が適正であるか、申告漏れがないかをチェックするのがこの現物確認になります。
それぞれどのような目的で調査官が現物を確認するのかお分かり頂けたかと思います。
ここに書いたことが全てではありませんが、万一、相続税の税務調査を受けることになった際の参考になれば幸いです。
税理士法人レガート 税理士 服部誠
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