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相続税の税務調査の事前対策(その10)
2020.10.30
今回も前号「相続税の税務調査の事前対策(その9)」に引き続き、「相続税の税務調査の事前対策」の10回目をお送り致します。
今回は「相続税の税務調査の事前対策(その10)」です。
では、ご覧下さい。
ヒアリングを基に行われる現物確認調査(2)
前回に続き、ヒアリング終了後の現物確認調査の解説2回目になります。
午前中のヒアリングで得た情報と事前調査で得た情報を突合し、矛盾点についての事実関係や裏付けを確認したり、事前調査で不明だった事項を探し出す作業が現物確認になります。どのようなものを確認して申告漏れの発見に繋げていくのか、調査官の行動を想像しながら読み進めていただけると幸いです。
4)家族名義の通帳
家族名義の預金は、「名義預金」(注)として申告漏れが疑われやすい財産の筆頭といえます。そのため、相続税の税務調査では家族名義の預金も調査の対象となるので注意が必要です。
(注)「名義預金」とは
『被相続人が家族などの自分以外の名義で作った預金をいいます。たとえ名義が家族等のものであっても、資金の拠出者が被相続人で、その口座の管理も被相続人がしていたものは名義人のものとはいえず、被相続人の財産と判断されて相続財産として申告しなければならないものになります。』
例えば専業主婦(無職無収入)の妻や、小さな子どもや孫の名義で多額の預貯金があった場合には、真っ先に名義預金が疑われるので要注意です。
家族名義の預貯金の残高が多い場合には、調査官はそれらの預金通帳を見ながらどのように形成されてきたのかを尋ねてきます。無職無収入の専業主婦でも、実家からの相続や毎年夫から贈与されていたものがあれば、それなりの預貯金を保有していても全く不自然ではありません。
小さな子どもや孫であっても、毎年、正しく現金の贈与が行われていたのであれば、預貯金の形成過程の説明は可能です。
しかし、調査官から突然質問されると慌ててしまい、また、「こんなことまで言ってしまっていいのだろうか」といった不安に駆られて上手に説明できないこともあります。
家族名義の預貯金残高が多い場合や、大きなお金の動きがある場合には、しっかりと説明できるように事前に確認し準備しておくことが不可欠です。
5)退職金や保険金が振り込まれた通帳
人の一生の中で大きなお金が振り込まれるのは、不動産を売却した時、退職金が支払われた時、生命保険金が支払われた時、が想定されます。そのため、相続税の税務調査の際は、死亡退職金と死亡保険金の入金状況を必ず確認します。
死亡退職金や死亡保険金は、支払った事業者や保険会社から支払調書が税務署に提出されるため、調査官はその事実を殆ど入手しています。
死亡退職金や死亡保険金に関しては一定額までは非課税となりますが、非課税枠を超える退職金や保険金がありながら相続税の申告書に記載がなければ申告漏れとなりますし、退職金や保険金が入金された通帳を確認して、そのお金がその後どうなっているかまでチェックします。万一、受取人以外の人へ流れている場合には贈与の問題に発展しますので注意が必要です。
6)生活口座があるかどうかの確認
タイトルの表現だけでは分かりにくいかもしれませんが、被相続人の通帳として提示されたものの中に、電気代やガス代といった公共料金や固定資産税の振替や引き出しが確認できるか、また、給与振込や所得税の振替、借入金の返済なども提示された通帳から確認できるかも、調査官はチェックしています。
もしも、それらの形跡がない場合には他に通帳がまだあるのでないか、公共料金などに関しては家族(配偶者)名義の通帳から振替になっているのではないかと調査官は疑いを持ちます。
家庭によっては、生活費は奥さんに任せているので、奥さん名義の通帳を一つ作り、そこに毎月一定額を入れて奥さんに渡しているといったケースもあるかもしれません。名義は奥さんであっても、資金の拠出者が被相続人である場合には、この預金も名義預金として相続財産と判断されるので注意が必要です。
相続税の税務調査で申告漏れとして最も多く指摘される財産は現金預金です。そして、その中でも「名義預金」が申告漏れ財産の筆頭とされています。調査官はあらゆる角度から名義預金と認定できる材料を探し出そうとしていることを知っておきましょう。
税理士法人レガート 税理士 服部誠
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