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相続税の税務調査の事前対策(その9)
2020.10.20
今回も前号「相続税の税務調査の事前対策(その8)」に引き続き、「相続税の税務調査の事前対策」の9回目をお送り致します。
今回は「相続税の税務調査の事前対策(その9)」です。
では、ご覧下さい。
ヒアリングを基に行われる現物確認調査(2)
前回に引き続き、ヒアリング終了後の調査内容の解説2回目になります。今回から具体的な現物確認の内容について解説して参ります。
午前中のヒアリング調査で得た情報と事前調査で得た情報を突合し、矛盾点の事実関係や裏付けを確認したり、事前調査で不明だった事項を探し出す作業が現物確認になります。
いったいどのようなものを確認するのか順を追って述べて参ります。
1)預貯金の通帳や証書類の確認
被相続人が保有していた預貯金の通帳や証書などの現物の確認は、実地調査の際に必ず行われることの一つです。調査官は事前に銀行調査を行っていると度々述べてきましたが、彼らが銀行調査を行って分かることは、その口座の残高と過去の入出金の履歴です。入出金の履歴は分かっても、それがどのような取引だったのか、特に出金に関しては何に使われたのかまでは判明できないことが多々あります。
そこで、生前の預貯金の動きで疑問に思うものについて相続人に質問するとともに、被相続人が使っていた通帳等の現物を確認し、取引の内容や使途に関してのメモや記録がないかをチェックするのです。
また、被相続人名義の通帳等で、申告書に記載されていない金融機関のものがないかも当然チェックします。もしそのような通帳があった場合には相続開始日までにどのような動きになっているか、そして相続開始日での残高はどうなっているかを確認することになります。
従って、通帳等に関しては調査官から疑いをもたれる書き込みやメモなどが挟まっていないか、念のため確認しておくことが必要です。特に大きな金額の入出金については調査官からその内容を質問されることがあるため、通帳等の金額の動きも一通り確認しておくことが必要といえます。また、死亡直前の預金からの引き出しも調査対象になりますので、その使途についても把握しておくことが必要です。
2)貴重品の保管場所の確認
通帳等を確認する際、調査官は「通帳や証書はいつもどこに保管していますか」と必ず聞いてきます。そして、保管場所の説明を聞くと「その場所を見せてください」と言って現場の案内を求めてきます。
なぜかといいますと、通帳や証書などの保管場所やその周辺には、金融機関との取引書類や郵便物、過去の取引伝票といった原始書類が保存されていることが多いからです。これらの書類は調査官にとっては一種の「お宝」といえる。
銀行や会計事務所が作った「財産一覧表」や「相続税の節税提案書」などが封筒やファイルに入ったまま保存されていたり、生命保険の提案書や設計書が残っていたら大変です。まさに調査官にとっては「宝の山」を見つけたようなものです。
通帳などの現物と同様、それらの保管場所についても事前にチェックしておくことが重要となります。
3)印鑑の確認
実地調査においては通帳等とともに印鑑の確認も必ず行われます。調査官は被相続人が使っていた印鑑の提示を求め、すべての印鑑の印影をとり、それぞれの印鑑の用途を質問してきます。実印、銀行印(複数ある場合にはどの銀行の届出印か)、認印といった具合に、すべての印影をとってそれぞれの用途を記載していきます。
調査官が印影をとるときの特徴も少し述べておきましょう。調査官が印鑑の印影をとるときは、最初は必ず「カラ押し」をします。つまり朱肉を付けずにそのまま押すのです。被相続人の印鑑ですので、亡くなってから相当の期間が経過しており、普通であればすでに朱肉が乾いて印影が取れないはずです。
ところが、カラ押しにもかかわらず印影が鮮明に取れたとなると、最近使ったことが想定でき、何の目的でいつ使ったのかを追求する材料となるのです。
従って、保存されている印鑑は事前に再確認し、説明に窮する印鑑がある場合には整理しておくとともに、念のため被相続人の印鑑は拭いておくとよいでしょう。
税理士法人レガート 税理士 服部誠
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