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コロナ禍での「税務調査の実態」について

2020.10.05

今回は、10月から再開された税務調査がどのように進められるのか、国税の内部情報が入手できましたので、現状での実態をお知らせいたします。

10月から再開された国税の税務調査

9月23日の日経新聞に掲載されていましたが、4月から中止されていた新規の訪問による税務調査が【10月から再開】されることになりました。

コロナで中止の訪問税務調査、国税が10月から再開-日本経済新聞

上記の記事によりますと、【職員の人数や滞在時間を可能な限り最小限にする】といった配慮をして調査を実施する模様で、国税当局としては次のような感染防止策を徹底するようです。

  1. 調査担当者は訪問前に検温、手指消毒の実施、咳や発熱等の再確認
  2. 調査先でのマスクの着用の徹底
  3. 納税者の協力を得て窓や扉を開けて定期的に喚起
  4. 応対時は一定の距離を保ち、会話の際は可能な限り真正面を避ける
  5. 職員の人数や滞在時間を可能な限り最小限にする

(以上、国税庁のパンフレットより抜粋)

いつもと違う調査の事前通知

通常であれば、日時や場所や税目などに関する税務調査の【事前通知】が、納税者か税理士等に電話で行われるのですが、この時期に関しては調査官はまず、納税者の健康状態などを質問し、調査の実施に支障がないことを確認したうえで事前通知を行うようにしているようです。

具体的には次のようなやり取りになります。

調査官

「○○さんの税務調査に伺いたいのですが、いくつか確認したいことがあります。
・○○さんの健康状態はいかがですか? 最近、発熱とかはないですか?
・コロナの影響で収入が減少していることはないですか?
・在宅勤務やテレワークはしていませんか?
・訪問する場所は自宅で宜しいですか? 」

税理士

「これは事前通知の一種ですか?」

調査官

「いいえ、事前通知ではありません。まずは○○さんの健康状態などの確認で、調査に支障のないことが確認できれば後日改めて事前通知を行います。」

納税者を気遣ってのことなのか、自分が感染しないための予防策なのか、心意は分かりませんが、無事に税務調査が行えるかどうかを確認してから判断することとしているようです。

納税者は「延期」と「実施」のどちらを選ぶか

調査官からの最初の質問に対して、「○○さんは家族に高齢の方がいて来客はすべて断っているようです。自宅も三密が避けられない環境みたいです。」と伝えれば、今回の調査は延期になるかもしれません。しかし、あくまでも延期であり、調査がなくなる訳ではありません。コロナが落ち着いた頃にじっくりと税務調査が実施されるかもしれません。

一方、今、調査を受ける場合には、調査官には上記のような様々な制限が設けられ、滞在時間も可能な限り最小限にするという国税庁長官からの指令も出ていることから、通常の調査に比べれば簡易にならざるを得ないと思われます。

もちろん、前者の状況が事実であればその旨を伝える必要がありますが、この時期だからこそのメリットもありますので、慎重に判断するようにしましょう。

以上、ご参考になれば幸いです。

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税理士法人レガート 税理士 服部誠

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