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相続税の税務調査の事前対策(その7)
2020.09.28
今回は前回の記事「相続税の税務調査の事前対策(その6)」に引き続き、「相続税の税務調査の事前対策」の7回目をお送り致します。
今回は「相続税の税務調査の事前対策(その7)」です。
では、ご覧下さい。
気が抜けない午前の部のヒアリング調査(5)
前記事に続き、調査当日のヒアリング(質問)の内容について具体的に説明して参ります。
調査官のヒアリング(質問)には必ず意図があります。何のためにそのような質問をするのか、質問の意図や目的も理解しながら読み進めていただけると幸いです。
なお、項目のナンバーは前記事からの通し番号になりますのでご了承ください。
【前記事までのバックナンバーはこちらです】
税理士法人レガート 税務調査ブログ
10)通帳・証書・印鑑の保管場所に関する質問
被相続人が使用していた預金通帳や印鑑などはいつもどこに保管していたかという質問です。これらの貴重品を被相続人が日頃どこに保管していたか、また、今現在はどこに保管しているのかが問われます。
家の中に金庫があるのか、あるいは貴重品を保管するケースや引き出しなどがあるのか、まずは保管場所を質問してきます。
通帳などの現物の確認は午後に行われるのが一般的ですが、調査官がヒアリングの途中に保管場所を見に行くこともあるので注意が必要です。
なぜ調査官が保管場所を確認に行くかは後ほど説明しますが、貴重品の保管場所とその周辺は事前に整理しておくことが重要です。その理由も追って述べてまいります。
11)貸金庫の利用に関する質問
「ご主人(被相続人)は生前に貸金庫を利用していましたか?」という質問も定番です。
利用していた場合には「貸金庫にはどんなものを入れていましたか?」「最近、金庫を開けたのはいつですか?」と質問が続きます。
不動産の権利証や契約証書、保険証券などといった大切なものを保管しているケースが多いと思いますが、中には貴金属や宝石、記念硬貨や現金といったものを保管しているケースもあり、意外とそれらの財産が申告から漏れていることが良くあるのです。
そのため、貸金庫を利用していて現在も利用を継続している場合には、調査官はその日のうちに貸金庫のある銀行へ行き、金庫内の保管物を調査します。
銀行によって貸金庫の入室時間が異なりますが、多くの銀行が午後5時まで利用可能となっているため、調査官が自宅等でのその日の実地調査を終えて、税務署に戻る途中に銀行に寄って貸金庫を確認するというケースがよくあります。
普段、なかなか貸金庫の保管物を出し入れしない人にとっては、不意打ちに会うようなものになります。調査官に誤解を与えるものがないよう、貸金庫の中も事前に確認しておくことが必要です。
12)葬儀の状況や香典帳に関する質問
コロナの影響もあり最近の葬儀は密葬や家族葬といった身内だけで行われるケースが多くなりましたが、それ以前は多くの関係者が参列して通夜や告別式が行われていました。
午後の現物確認で行われるものに葬儀の際の香典帳や芳名帳のチェックがあります。
なぜ香典帳や芳名帳をチェックするのかというと、銀行や証券会社といった金融機関の人が葬儀に来ていないかを確認するのです。
金融機関の人が葬儀に参列している場合にはそれ相当の取引があった人といえます。そこで、葬儀に参列した金融機関の預貯金等が申告書に計上されているかどうかを確認するための資料として、香典帳や芳名帳が効果的なのです。
「葬儀のときの香典帳や芳名帳はありますか?」という質問がきたら、目的は金融機関の関係者のチェックだと思ってください。
従って、事前に参列者を一通り確認して、万一、申告書に計上のない金融機関の関係者の記載があった場合には、被相続人とどのような関係だったのかを説明できるようにしておきましょう。仕事上の取引先であったり、子どもの友人だったというケースもよくあることです。
13)相続した財産の現状に関する質問
被相続人の財産は遺言書や遺産分割協議書によって、だれが何を相続するかが確定し、その内容に応じて相続税の申告が行われています。
実地調査においては、相続税の申告通りに被相続人の財産がそれぞれの相続人が取得しているかも確認されます。
例えば、妻(配偶者)に関しては一定の金額まで相続税が免除される「配偶者の税額軽減」という特例があります。申告書の上では配偶者が相続するとなって相続税が免除されているのに、実際には子どもたちが取得しているとなると問題です。
そのようなことがないかを確認する意味で、調査官は「相続財産が現在どうなっているか教えてください」という質問をしてきます。
同じような意味で、「相続人皆さんの相続税はどのように納めましたか?」という質問もあります。子どもたちが自らの預貯金等から相続税を納めていれば問題ありませんが、子どもが納めるべき相続税を上記の特例で税金がかからなかった配偶者(子どもから見れば親)が負担していたとなると贈与税の問題に発展します。
相続税の申告通りに各相続人が財産を取得しているか、そして、相続税は納税者本人が負担しているか、実地調査ではこういった確認も行われますので、これらの質問に対してもきちんと対応できるように事前にチェックしておくようにしましょう。
10時に始まった午前のヒアリングは12時頃まで続き、一旦お昼の休憩に入ります。お昼を挟んで午後1時頃からは、現物確認の実地調査が始まります。
次回からは午後の現物確認についてお伝えいたします。
税理士法人レガート 税理士 服部誠
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