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相続税の税務調査の事前対策(その3)
2020.08.17
今回は前回の記事「相続税の税務調査の事前対策(その2)」に引き続き、「相続税の税務調査の事前対策」の3回目をお送り致します。
今回は「相続税の税務調査の事前対策(その3)」です。
では、ご覧下さい。
気が抜けない午前の部のヒアリング調査(1)
前号において、調査当日のスケジュールを大まかにお伝えしましたが、今回からは具体的な質問内容や調査する書類などについて説明して参ります。
今日は調査当日の午前中に行われる「ヒアリング」調査の内容です。どのような質問が行われ、それに対してどう対応すればよいか、私の経験を踏まえて順を追って説明していきましょう。
1)親族の状況に関する質問
調査官がまず質問してくるのが、亡くなった人(被相続人)にはどのような親族がいて、現在どのような状況にあるのかという質問です。
親族の範囲に関しては調査官もあらかじめ被相続人を中心に戸籍を調べ、自ら親族図表などを作成して調査に臨んできます。自分たちが作った親族図表や親族関係者の認識と、相続人から聞き取る内容とで整合性があるかどうかを確認することがこの質問の目的です。
そして、被相続人に関わる親族についての住所や年齢、学歴、職業といった具体的な質問をしてきます。
もちろん、これらの質問に関しては、知っている範囲で回答すれば十分です。分からないことを想像で回答する必要はありません。「そこまでは分かりません」という回答で問題ありません。
実は調査官は相続人とその家族(配偶者や子など)の預貯金についても実地調査前に銀行調査を行い、親族が保有する預貯金の残高や過去の入出金の状況を把握していることが殆どです(東京国税局管内の場合)。
つまり、親族に関するヒアリングは、それぞれの親族の預貯金の残高が年齢や職業に相応しいものかどうかも探っているのです。
そのため、相続人やその家族が年齢や職業(年収)に相応しくない多額な預貯金を保有している場合には名義預金を疑われる可能性があるので注意が必要です。
2)被相続人の学歴や職歴に関する質問
学歴や職歴は、その人の財産形成に大きく関わってきます。そのため、相続税の税務調査では必ずと言っていいほど、被相続人の学歴や職歴に関しての質問が行われます。出身学校(大学や高校)はどこで、いつ仕事に就いたのか、勤務先や仕事内容、役職、退職の時期といった具合に質問が繰り広げられます。
この質問の目的は、被相続人の職歴を基に、収入と財産のバランスがとれているかどうかを確認することにあります。特に退職の時期には退職金としてまとまった金額が支給されていることが想定されるため、それをどのように運用または使用されているか、銀行調査で得た資料と突合して不自然さがないかどうかを確認するのです。
従って、立ち会う相続人等の方は、被相続人の学歴や職歴を可能な範囲でよいので、事前に確認しておくことが望ましいといえます。但し、質問されて答弁するときにはスラスラと回答せず、じっくりと思い出しながらお話しするのが良いでしょう。
3)被相続人の転居の有無に関する質問
被相続人がサラリーマンなどの転勤が伴う職業であった場合、どこに転勤しどこに居住していたかが質問されます。
この質問には次の二つの目的があります。
一つ目は、転勤先での居宅が持ち家だったのか借家だったのかを確認することです。
持ち家だった場合、その資金はどこから出ていたのか、その後売却したのか所有し続けているのか、売却した場合にはその資金はどこへ流れているのか、といった具合に質問が展開していきます。
二つ目の目的は、転勤先の地域の金融機関で口座を設けていたかどうかを確認することにあります。
転勤先から戻る際に口座を解約していれば問題ないのですが、解約せずにそのまま口座が残っていて預金の残高がある場合には申告漏れに繋がることが考えられます。
被相続人が転勤の多い人であった場合には、そのあたりも詳しく聞かれることもあると思った方が良いでしょう。
午前10時に始まり、この辺りでおおよそ10時半を過ぎた頃かもしれません。
この続きは次号でお伝えいたします。
税理士法人レガート 税理士 服部誠
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