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コロナ禍における『テレワーク期間の通勤手当』の税務の取り扱い
2020.07.30
今回は、コロナの影響で「テレワーク(在宅勤務)」を実施している企業等が、社員さんなどに「通勤手当」を支給した場合の税の取り扱いについてお知らせします。
会社等に通勤するための実費精算という性格から非課税とされている「通勤手当」ですが、テレワークが継続される場合はどう取り扱われるのか、簡単に整理したいと思います。
コロナ禍の『テレワーク期間の通勤手当』について
通勤手当と所得税法の取り扱い
まず、所得税法第9条において、次に掲げる所得は【非課税】と定めています。
(所得税法第9条第1項第5号)
『給与所得を有する者で通勤するものが、その通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとして、通常の給与に加算して受ける通勤手当のうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分として政令で定めるもの。』
そして政令では次のように定めています。
『勤務地に移動するために通常要する交通費に関しては、その勤務者等の通勤に係る運賃・時間・距離等の事情に照らして、最も経済的かつ合理的と認められる通常の勤務の経路に係る運賃等の額は、課税の対象としない(上限月額15万円)。』
つまり、会社等に通勤するために通常要する交通費は、月額の上限はあるものの、原則【非課税】とされているのです。
しかし、この法律ができたときは、勤務地に「全日出勤」することが前提とされており、現在のような「テレワーク(在宅勤務)」など、全く想定されていませんでした。
コロナ禍での通勤手当の取り扱い
緊急事態宣言が4月に発令されて、感染拡大防止を目的として多くの事業者が「テレワーク(在宅勤務)」を実施するようになりました。緊急事態宣言が解除された今でも、テレワークを継続している事業者も多数あることでしょう。
テレワーク(在宅勤務)を実施している事業者での通勤手当については、次のような支給方法が考えられます。
(1) 出勤日数に関わらず、通勤定期券の支給やそれ相当額の通勤手当を支給する方法
(2) 出勤日数分に応じた通勤費相当額を支給する方法
上記のうち(2)に関しては課税の対象にならないのは当然です。
問題は(1)の場合です。
これに関しては、「週刊税務通信」が当局に取材した内容として次のような記事を掲載しています(7月20日号)。
『コロナ禍においては、結果的に、従業員らの通勤しない期間が長期化した場合等でも、会社が、通勤手当を支給することに合理性があるなどと判断していれば、非課税と取り扱って問題ないという。原則の勤務形態をテレワークに変更した一定の場合を除き、後の税務調査で問題視することは想定されていないようだ。』
つまり、一時的なテレワーク(在宅勤務)であっても、【本来の勤務地が会社】なと決められている場合には、テレワーク期間中に必ずしも出勤しないとは限らないことから、上記(1)の通勤手当に関しても【非課税】として問題ないとしています。
勤務地が「自宅」の場合の通勤手当は給与課税
勤務地が原則「会社」とされている場合でのテレワーク(在宅勤務)期間の通勤手当は前述の通りですが、テレワークが原則化されて【勤務地が「自宅」】となった場合は、そもそも通勤手当の支給自体が不要となります。
従って、そのような場合において通勤手当の支給が継続される場合は【給与課税】の対象となり、支給する事業者側では【源泉徴収】の義務が発生いたしますのでご注意ください。
以上、ご参考になれば幸いです。
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税理士法人レガート 税理士 服部誠
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