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相続税の税務調査に選ばれるケース~その2~
2019.02.21
前回の記事では、相続税の税務調査に選ばれやすいケースとして、「名義預金と贈与」「上場有価証券」「上場会社の重役、同族会社のオーナー」「頻繁な預貯金等の出入り」などを紹介しました。
今回はさらに、「預貯金等で不明な出金が多いケース」や「多額な借入金に見合う化体財産が無いケース」についても見ていきましょう。
5.預貯金等で不明な出金が多い
相続税の税務調査では、「預貯金等の不明な出金」にも追求が及びます。
預貯金の出金に関しては、それが高額であればあるほど、出金先について詳細に調べられます。何かを購入したのであれば、それが相続財産として申告されているのかをチェックし、出金先が不明であれば、実地調査で確認する必要があります。
また、被相続人の預金口座の中にクレジットカードによる支払いがあった場合。それが極めて高額であれば、何のための支払いなのかをカード会社に照会します。家族がそのカードを利用して多額の買い物をし、実質的に財産の移転を図っていると疑われるためです。
いずれにしても、預貯金からの高額で不明な出金が見られる場合には、税務調査の可能性が一段と高まることになります。
6.多額の借入金に見合う化体財産がない
さらに、「多額の借入金に見合う化体財産がない」場合も、相続税の税務調査に注意しましょう。
化体財産とは、借入金が“何に化けたのか”を表す専門用語です。
相続税の申告書に多額の借入金があるにも関わらず、それに見合う相続財産が記載されていない場合。何らかの財産が申告漏れになっているのではないかと推測され、税務調査に及ぶことがあります。
たとえば、バブル期に借入金で不動産を購入しており、現在ではその不動産が大幅に値下がりして借入金だけが残っているというケースはよくあります。しかし、そのような事情は、申告書からでは分かりません。その結果、調査対象に選定されてしまうことも有り得ます。
7.その他の税務調査の推定要件
その他にも、相続税の税務調査が必要であると推定されるケースとして次のようなものが挙げられます。
①評価額に問題がある
預貯金や上場株式の評価は、誰が見ても明らかです。しかし、不動産や自社株式の評価方法は複雑です。そのため、これらの資産の評価に関しては、たとえ専門家(税理士等)に任せていたとしても、評価額の算定に誤りが出てくることがあります。この誤りを指摘し、修正申告を促すという意味でも、税務調査が行われます。
②自社株が分散している
自社株が家族名義で分散している場合も、税務調査の対象となります。名義預金と同じく、それが実質的には被相続人の所有に当たるのではないかとして、調査対象に選定されやすくなるのです。とくに、優良中小企業のオーナーが被相続人であった場合、ますます調査の可能性が高まるでしょう。
③頻繁な海外送金がある
海外への送金や海外からの入金が1ヶ月に100万円を超えると、「支払調書」が金融機関から税務署に提出されます。これにより、税務署では、過去の送金に関するデータを蓄積し、ある程度の海外資産の形成について把握します。そして、相続が発生したとき、申告書に海外の資産が記載されていない場合、申告漏れの可能性が高いとして調査対象に選定されます。また、海外留学している子ども等に学資を送金している場合も、相続時にそのお金が残っていると、たとえそれが子ども名義の口座であっても相続財産と認定されるケースがありますので注意が必要です。
④貸金庫がある
相続税の事前調査の過程において、貸金庫があることが分かった場合、税務調査に及ぶ可能性が高まります。貸金庫には、家族の資産に関する重要書類が保管されていることが通例であり、それが頻繁に利用されていれば、何らかの財産の移動があると予想されるからです。とくに被相続人の死亡前後に慌しい動きがあれば、財産隠しを疑われます。貸金庫は、いつ開けに来たか、銀行によっては誰が来たのかまで記録されています。貸金庫の中身は実地調査でも必ずチェックされるので、留意しておきましょう。
税理士法人レガート 税理士 服部誠
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