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改正による給与所得者の影響まとめ
2018.10.31
平成30年度の税制改正では、「給与所得控除」の改正が行われました。今回の給与所得控除改正により、平成32年の所得税からは、給与所得控除の変更に伴う影響が出ることとなります。
具体的な改正の中身としては、給与所得控除が一律10万円引き下げられたことに加えて、給与所得控除の上限についても220万円⇒195万円(上限年収1,000万円⇒850万円)へと引き下げられています。
給与所得控除の改正に伴う具体的な影響について
今回の改正で注意しなければならない人は、年収850万円の給与所得者です。
ほとんどの中小企業経営者が当てはまることと思います。
これから先、法人の利益を役員報酬の増額で圧縮できるのは、役員報酬850万円までと考えていいでしょう。
給与所得控除改正の影響をイメージしやすくするために、以下、それぞれのパターン別にまとめました。
ぜひ、参考にしてください。
【1】年収850万円以下のサラリーマン
給与所得控が一律10万円引き下げられるものの、基礎控除の引き上げがあるため、実質的な影響はありません。
例)給与年収500万円
改正前 給与所得控除154万円+基礎控除38万円= 192万円
改正後 給与所得控除144万円+基礎控除48万円= 192万円
このように、給与所得控除と基礎控除の改正が相殺され、税額は変わりません。
【2】年収850万円超のサラリーマン(介護子育て世帯に該当しない場合)
一方で、年収850万円を超える高収入の給与所得者は“増税”になります。(【3】に該当する方を除く)
例)給与年収1,000万円
改正前 給与所得控除220万円+基礎控除38万円= 258万円
改正後 給与所得控除195万円+基礎控除48万円= 243万円
このように、控除額が15万円下がるため、増税となります。
【3】年収850万円超のサラリーマン(介護子育て世帯に該当する場合)
今回の改正では、「介護、子育て世帯」に配慮して、【2】のランクの方も増税にならないケースがあります。
対象者は下記に該当する方です。
- 特別障碍者
- 特別障碍者である同一生計配偶者又は扶養親族を有するもの
- 23歳未満の扶養親族を有するもの
このいずれかに該当すれば、【2】の控除に「所得金額調整控除」が使えるため、下記のように増税ではなくなります。
例)給与年収1,000万円
改正前 給与所得控除220万円+基礎控除38万円 = 258万円
改正後 給与所得控除195万円+基礎控除48万円+※15万円= 258万円
※所得金額調整控除
(1,000万円-850万円)×10%=15万円
このように、給与所得控除の改正によって、年収850万円を基準とし、所得税に影響が及ぶ可能性があります。
あらかじめ改正の内容をよく理解し、適切に対処しましょう。
税理士法人レガート 税理士 土田拓己
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