相続専門税理士 服部 誠 の「相続情報マガジン」
死亡退職金や弔慰金に相続税はかかるのか?
2019.09.09
現在の勤務先には「退職金制度」があり、在職中に死亡した場合には「死亡退職金」や「弔慰金」が支給されることになっています。これらの死亡退職金や弔慰金には、誰に、どのような税金がかかるのでしょうか?
1.死亡退職金には「相続税」がかかる
在職中に死亡したことによって、勤務先から死亡した人(被相続人)に支給されるべきであった退職手当金や功労金、その他これらに準ずる給与を遺族(相続人)が受け取る場合で、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものは、“被相続人の相続財産”とみなされます。
そのため、退職手当金等を受け取った相続人に対する「相続税」の課税対象になります。この場合の退職手当金等は、受け取るものの名目に関わらず、実質的に被相続人の退職手当金等として支給される金品をいいます。従って、金銭以外の現物で支給された場合も含まれます。
また、死亡後3年以内に支給が確定したものとは、次のとおりです。
①死亡退職で支給される金額が被相続人の死亡後3年以内に確定したもの
②生前に退職していて、支給される金額が被相続人の死亡後3年以内に確定したもの
2.相続税が非課税となる退職手当金等について
勤務先から相続人に対して支給される退職手当金等は、そのすべてが相続税の課税対象となる訳ではありません。死亡保険金と同様、「死亡退職金の非課税制度」があるため、非課税限度額までは相続税が課税されません。
一方、相続を放棄した人や相続権を失った人、および相続人以外の人が取得した退職手当金等には非課税制度の適用がありませんので注意してください。なお、非課税限度額は、次の算式で計算した金額となります。
「非課税限度額=500万円×法定相続人の数」
(注1)法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいいます。
(注2)法定相続人の中に養子がいる場合、法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいるときは1人、実子がいないときは2人までとなります。
3.相続税が課税される退職手当金等の計算方法
相続人が受け取った退職手当金等の合計金額が、非課税限度額を超える場合。超える部分の金額と、相続人以外の人が受け取る退職手当金等の金額が、相続税の課税対象となります。
なお、非課税限度額は、相続人が受け取った退職手当金等の金額の割合で按分し、退職手当金等を受け取った相続人から控除します。例えば、相続人が妻・長男・長女の3人で、退職手当金等を妻が2,000万円、長男が1,000万円受け取った場合、次のように計算されます。
①非課税限度額の計算
500万円×3人=1,500万円
②各人の非課税金額の計算
- 妻:1,500万円×2,000万円/(2,000万円+1,000万円)=1,000万円
- 長男:1,500万円×1,000万円/(2,000万円+1,000万円)=500万円
③各人の課税対象となる金額
- 妻:2,000万円-1,000万円=1,000万円
- 長男:1,000万円-500万円=500万円
4.弔慰金を受け取った場合
被相続人の死亡によって受け取る弔慰金や葬祭料等については、通常、相続税の課税対象にはなりません。しかし、弔慰金などの名目であっても、実質的に退職手当金等に該当すると認められるものは相続税の課税対象となるので注意が必要です。
相続税が非課税となる弔慰金は、次のとおりです。
①被相続人の死亡が業務上の死亡であるとき
- 被相続人の死亡当時の普通給与の3年分に相当する金額
②被相続人の死亡が業務上以外の死亡であるとき
- 被相続人の死亡当時の普通給与の6か月分に相当する金額
これらを超える部分の金額については、退職手当金等に該当するものとして取り扱われます。このように、弔慰金の支払いがあった場合には、業務上の死亡か業務上以外の死亡かによって非課税となる金額が異なるため、注意しましょう。
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