相続専門の税理士(東京/銀座)税理士法人レガート

相続専門税理士 服部 誠 の「相続情報マガジン」

遺留分は侵害できない

2017.06.15

税理士法人レガートの“相続マガジン”。(Vol. 63

 

1.遺留分とは

●遺族が最低限受け取れる割合があります

 被相続人は、遺言を残すことで遺産を思いのままに処分することができます。ただし、だからといってすべての遺産を他人に遺贈して、配偶者や子供には何も残さないといった相続の仕方は法律で認めていません。

 例えば、妻子に何も残さず、「全財産を愛人に譲る」と遺言して亡くなった人がいるとします。もしこれがそのまま認められてしまったら、残された家族はこれからの生活に困るという事態も想定されます。

 こうした事態を防ぐため、民法では法定相続人のうち、配偶者と直系卑属、直系尊属に対しては、最低限の取り分を規定し、保証しています。これを遺留分といい、遺留分を主張できる権利を遺留分減殺請求権といいます。

 ただし、その相続人が遺言者の意思を尊重したいと思うならば、遺留分を主張する必要はありません。これを、遺留分の放棄といいます。

 

.遺留分の割合

●基本的には財産の半分が遺族に遺されます

 遺留分で確保されている相続財産の割合は、相続できるはずだった本来の法定相続分の2分の1(父母など直系尊属のみが相続人となる場合は3分の1)です。相続人が兄弟姉妹だけの場合には遺留分はありません。

 したがって、遺言者に配偶者や子供、父母がいない場合には、財産を誰にどう遺そうと自由に定められます。

相 続 人

遺留分割合

配偶者のみ

子(または子の代襲者のみ)

配偶者と直系卑属

配偶者と直系尊属

1/2

直系尊属のみ

1/3

兄弟姉妹

0

 

.遺留分制度の使い方

 まず、大前提として遺留分を主張するかどうかは遺留分権利者(遺留分を侵害されている相続人)の自由ということと、遺留分は主張しないと時効で消滅するということです。

 遺留分はあくまで権利を有する相続人が遺留分を主張して、遺贈の効果を否定したいと意思表示をした場合にだけ効果が生じます。これを「遺留分減殺請求」と言います。

 従って、故人が残した遺言を故人の意思を尊重して認めるなら、必ずしも遺留分減殺請求をしなければいけないというわけではありません。

 また、遺留分減殺請求は遺留分権利者が相続が開始していることと、遺留分を侵害している

 遺贈があったことを知ってから1年、または知らなくても相続開始から10年経過すると、時効によって遺留分減殺請求をすることができなくなります。

 遺留分減殺請求の方法は、遺贈を受けた相手に遺留分減殺請求の意思表示をすればよく、遺留分減殺請求の方法は特に決められてはいません。

 また、意思表示は相手方に直接すればよく家庭裁判所などに手続き等をする必要もありません。

 しかし、実際には、意思表示をしたとする証拠を残す意味でも「遺留分減殺請求書」として内容証明郵便等で相手方に送るのが望ましいでしょう。

 

税理士法人レガート 税理士 服部誠

 

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