相続専門税理士 服部 誠 の「相続情報マガジン」
遺言でできることとできないこと
2017.05.18
税理士法人レガートの“相続マガジン”。(Vol. 62)
遺言は亡くなった人の最終的な意思を示すものなので、その内容は最大限に尊重されるべきです。しかし、遺言は遺言者の死後に明かされる一方的な意思表示となるため、時には行き過ぎたり、内容不明の事柄が書いてあっても、故人に問いただすことはできません。
そこで、あらかじめ法的拘束力を持つ遺言事項が、民法で定められています。遺言は、身分に関するものと、財産に関するものに限られます。ですから、たとえ遺言で遺族の婚姻や離婚、養子縁組、遺産の売買に関することを書き残しても、その遺言は拘束力を持ちません。
また、夫婦連名で遺言するなど、複数の人が共同で同一の遺言証書で遺言することもできません。
◆遺言の効力
①子供の認知
②遺贈
③相続人の廃除と廃除の取り消し
④未成年後見人の指定
⑤相続分の指定、指定の委託
⑥遺産分割の禁止
⑦遺産分割方法の指定、指定の委託
⑧遺言執行者の指定、指定の委託
⑨相続人相互の担保責任の指定
⑩遺贈減殺方法の指定
■民法で規定される遺言の種類
遺言の内容は、正しく正確に伝わらなくてはなりません。そのため、遺言の作成の方法は法律で定められていて、書式に従わない限りは、法的に認められません。
遺言の種類は、大きく分けると普通方式遺言と特別方式遺言に分けられます。どちらも、遺言を残すことのできる年齢は15歳以上と定められています。
一般的に、用いられる遺言方式は普通方式遺言で、3種類あります。
1.自筆証書遺言
2.公正証書遺言
3.秘密証書遺言
なかでも実際に使われる遺言は、ほとんどが自筆証書遺言と公正証書遺言です。それぞれの長所と短所を比較して、ケースに応じて選択します。
ただし、公正証書遺言以外では、内容不明や書き方の不備などにより、遺言が無効になることも多々あるので十分な注意が必要です。
特別方式遺言には、4種類あります。
1.死亡緊急時の遺言
2.一般隔絶地
3.在船者
4.船舶遭難者
病気や事故などで死が迫っているような緊急の場合や、感染症病棟内や船舶内など、日常生活の環境と隔絶している場合に認められるもので、例外的なものと考えてよいでしょう。
◆遺言書の種類
|
公正証書遺言 ( 民 969 ) |
自筆証書遺言 ( 民 968 ) |
秘密証書遺言 ( 民 970 ) |
作成方法 |
本人と証人2人で公証人役場に行く。(病気等の場合は公証人が来てくれる)
→証人2人以上の立会で公証人に遺言の内容を口述。公証人がそれぞれ筆記。遺言者、公証人、証人がそれぞれ署名押印。 |
遺言者が全文、年月日、氏名を自署して押印する。 |
左と同様に作成(加筆可)、署名、遺言書に押印したのと同じ印鑑で封印。
→証人2人以上と公証人役場に行き、遺言者、公証人、証人がそれぞれ署名押印。 |
印 鑑 |
本人:実印(印鑑証明書が必要) 証人:認印可 |
認印可 |
認印可 |
長 所 |
・改ざん・紛失の恐れがない(原本は20年間公証人が役場に保管) ・無効になる恐れがない |
・作成が簡単 ・内容を秘密にできる ・費用がかからない |
・内容を秘密にできる ・改ざんされる恐れがない |
短 所 |
・手続が煩雑 ・費用がかかる ・内容を証人には知られる |
・改ざん・紛失の恐れがある ・無効になる恐れがある ・要件の不備から紛争の起こる恐れがある |
・手続が煩雑 ・無効になる恐れがある ・要件の不備から紛争の起こる恐れがある |
税理士法人レガート 税理士 服部誠
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