相続専門税理士 服部 誠 の「相続情報マガジン」
相続税の連帯納付義務
2024.12.03
一緒に相続した相続人や受遺者が相続税を納めなかった場合には、他の相続人等が連帯してその未納の相続税を納めなければなりません。
これを相続税の「連帯納付義務」といいます。今回はこの相続税の「連帯納付義務」について解説いたします。
相続税の連帯納付義務
相続税は、被相続人の遺産総額に対して課される「相続税の総額」を計算し、各相続人が取得した遺産額の割合に応じた各人の相続税を納めることとなっています。
つまり、各相続人が納める相続税は、相続人間で配分された税金ということがいえます。
そのため、同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した全ての人は、その相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税について、相続又は遺贈により受けた利益の額を限度として、互いに連帯して納付義務を負うこととされています(相続税法第34条)。
連帯納付義務者
連帯納付義務の対象となる人(連帯納付義務者)は、同一の被相続人から相続または遺贈により財産を取得した人全員で、さらに、その被相続人から相続時精算課税制度で生前に財産を贈与された人も、連帯納付義務の対象に含まれます。
また、家庭裁判所の正式な手続きを経て相続放棄をした人は連帯納付義務から外れることができますが、相続放棄をした人でも、被相続人の死亡に伴う死亡保険金や死亡退職金を受け取っている場合には、それらの死亡保険金や死亡退職金はみなし相続財産として相続税の課税対象となるため、連帯納付義務の対象となります。
なお、平成24年4月1日以降に申告期限が到来する相続税からは、次に該当する場合には連帯納付義務が免除されることとなっています。
- 申告期限から5年経過日までに納付通知書が発せられない場合
- 本来の納税義務者が延納の許可を受けた場合
- 本来の納税義務者が納税猶予の適用を受けた場合
連帯納付義務者が支払う金額
連帯納付義務は、相続で取得した財産の額に関わらず相続人全員が平等に負担します。
但し、納付義務の対象となる税額には、次のような限度が設けられています。
限度額=相続で取得した遺産の額-納付済みの相続税額
例えば、相続で取得した遺産の額が1000万円あり、自分の相続税で150万円納付していた場合には、連帯納付義務の限度額は850万円になります。
また、連帯納付義務の場合も、相続税の法定納期限を過ぎて納めることになるので、未納であった相続税には利子税が加算されます。利子税は相続税が完納されるまでの日数に応じて計算されます。
連帯納付義務の手続きの流れ
相続税の納付期限は申告期限と同様、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。
この期限内に納税がなければ、税務署は滞納者本人に督促状を発送しますが、督促をしても納税がない場合は本人に対して財産調査を実施し、財産の差し押えや競売といった滞納処分が行われます。
しかし、差し押える財産がない場合や財産の換価が難しい場合には、税務署の判断で連帯納付義務者に納税を求めることになります。
連帯納付義務の手続きは次のような流れになります。
- まずは、連帯納付義務者(他の相続人等)に「完納されていない旨のお知らせ」が発送され、相続人同士で解決してもらうよう促されます。
- その後も納税がなされない場合には、連帯納付義務者に「納付通知書」が発送され、納付すべき税額と納付期限が通知されます。
- 納付通知書の発送から2カ月経過しても完納されない場合には、連帯納付義務者に対して督促状が発送され、連帯納付義務者も滞納処分の対象者として扱われることになります。
連帯納付義務の回避策
連帯納付義務は法律で定められたものであり、拒否することはできません。
従って、連帯納付義務を回避するためには事前に策を講じておくことが必要です。
遺産分割の際は、相続税の納税資金も考慮に入れて金融資産の取得割合を決めることが重要といえます。
また、特定の相続人等に滞納等の不安がある場合には、遺産の中から相続税の納税手続きを先に代行してあげて、納税後の手取り額を本人に渡してあげるといった方法が効果的といえます。
いかがでしょうか。
相続人が複数いる場合には、各人が相続税を納付しているかを相互に確認し、連帯納付義務に巻き込まれないよう注意する必要があります。
今後の参考になれば幸いです。
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