相続専門税理士 服部 誠 の「相続情報マガジン」
相続開始後に災害で財産が滅失した場合
2023.12.11
相続で財産を取得した後に、不運にも地震や火災などの災害によって相続した財産が滅失してしまった場合、相続税の計算はどうなるでしょうか。
今回は相続開始後に災害で財産が滅失した場合の相続税の計算方法について解説いたします。
評価の原則
相続税を計算する際の、相続又は遺贈で取得した財産の価額は、相続税法第22条において、「当該財産の取得の時における時価」とされています。
つまり、法律上はあくまでも「相続開始日」の価額とされています。
株式や投資信託などの有価証券や、土地などの不動産も、その価額は常に一定ではなく、相続開始日から相続税の申告期限までの間に変動することも十分考えられます。
しかし、相続後の経済情勢等に伴う価額の変動は、相続税の計算上は原則として考慮されず、相続開始日の時価とされています。
そこで、価額の変動が災害などの不可抗力によるものである場合には、被災者の救済という配慮から、被害の割合に応じた税負担の軽減措置が設けられています。
相続税が減免される要件
相続等により取得した財産が災害によって被害を受けた場合において、次の(1)又は(2)のいずれかに該当するときには、相続税が減免されます。
- 相続税の課税価格の計算の基礎となった財産の価額(債務控除後の価額)のうちに、被害を受けた部分の価額(保険金、損害賠償金等により補填された金額を除く)の占める割合が、10分の1以上であること。
- 相続税の課税価格の計算の基礎となった動産等(注)の価額のうちに、その動産等について被害を受けた部分の価額(保険金、損害賠償金等により補てんされた金額を除く)の占める割合が、10分の1以上であること。
(注)上記の動産等とは、金銭及び有価証券以外の動産、土地及び土地の上に存する権利以外の不動産(建物や構築物など)、立木をいいます。
法定申告期限前に災害があった場合
相続税の法定申告期限前に災害があった場合は、申告書を提出する前に被害の状況が把握できるため、総財産の価額から被害を受けた額を差し引いて、相続税の課税価格を計算することになります。
具体的には、相続等により取得した財産の価額から、被害を受けた部分で、保険金や損害賠償金等で補填されなかった部分の価額を控除して課税価格を計算します(災害減免法6)。
なお、災害減免法第6条の適用を受けられる人は、相続税の納税義務者で、相続又は遺贈で取得した財産について災害による被害を受けた人になります。
そして、災害減免法の適用を受ける場合には、相続税の申告書に「災害減免法の適用を受けること」「被害の状況」「被害を受けた部分の価額」を記載して申告する必要があります。
法定申告期限後に災害があった場合
相続税の法定申告期限後に災害があった場合は、相続税額がすでに確定しているため、「災害のあった日以後に納付すべき相続税額」がある場合に、その納付する税額の一定額が免除されます。
具体的には、災害のあった日以後に納付すべき相続税額で、その課税価格の計算の基礎となった財産の価額のうち、被害を受けた部分で保険金や損害賠償金等で補填されなかった部分の価額に対応する金額が免除されることになります(災害減免法4条)。
ただし、災害があった日以後に納付すべき相続税額には、延滞税等の附帯税や災害があった日現在において滞納中の税額は含まれません。
そして、免除を受けようとする人は、相続税の免除承認申請書に、被害の状況や被害額等を記載し、災害のやんだ日から2か月以内に、納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。
災害の時期が、相続税の申告期限の前か後かによって、その取扱いが異なるため注意が必要になります。
以上、今後のご参考になれば幸いです。
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