相続専門税理士 服部 誠 の「相続情報マガジン」
相続人に行方不明者がいる場合
2023.10.10
故人の遺産を相続人で分割するためには、相続人全員で遺産分割協議を行う必要がありますが、相続人のうちに音信不通や行方不明の人がいる場合はどうしたらよいでしょうか。
今回は相続人のなかで行方不明者がいる場合の手続きと相続税の申告について解説いたします。
二つの対応方法
故人(被相続人)の遺産を分割するためには、相続人全員が参加して故人の遺産に係る分割協議を行う必要があります。一人でも相続人が欠けた状態では遺産分割協議は成立せず、相続税の申告も未分割として計算し申告しなければならなくなります。
そのような場合には、「不在者財産管理人」の制度と「失踪宣告」の制度があり、行方不明となった原因や状況に応じて、どちらかの方法を利用して遺産分割協議と相続税の申告を行うことになります。
この二つの制度は、前者は行方不明者の「生存」を前提とする制度であるのに対し、後者は行方不明者の「死亡」を前提とする点に大きな違いがあります。
不在者財産管理人の制度(民法25)
行方不明になってから7年未満で、生きているかもしれないが所在が分からない場合に、その配偶者や兄弟姉妹などの利害関係人が、行方不明者(不在者)の最後の住所地または居所地を管轄する家庭裁判所に財産管理人の選任を請求する制度です。
不在者の財産管理人は、利害関係人の請求によって家庭裁判所が選任しますが、利害関係のない親族などの中から候補者を挙げることができます。
ただし相応しい候補者がいない場合は、弁護士や税理士、司法書士などの専門家から選定されるのが一般的です。
この制度で選任された不在者財産管理人は、文字通り「不在者の財産の管理」のみを行うこととなりますが、家庭裁判所に「権限外行為許可」を申請して認められた場合には、不在者に代わって遺産分割協議に参加することができるようになります。
また、不在者財産管理人は一種の法定代理人でもあるため、不在者の代理人として相続税の申告書を提出することもできます。
失踪宣告の制度(民法30)
行方不明者(不在者)の生死が7年以上明らかでないとき(普通失踪)に、利害関係人が不在者の最後の住所地または居所地を管轄する家庭裁判所に申し立てをすることにより、一定の条件の下に不在者を「死亡」したとみなす制度です。
なお、失踪には「普通失踪」の他、行方不明の原因が震災や水害などの危難の場合には、危難が去ってから1年以上生死が不明なケースの「特別失踪」があります。
失踪宣告を受けた行方不明者は、法律上は「死亡した」として扱われますので、行方不明者が死亡したとされる日(みなし死亡日)が被相続人の死亡前であるか死亡後であるかによって、相続の権利は次のように異なります。
1)行方不明者のみなし死亡日が被相続人の死亡前のとき
- 行方不明者に代襲相続人がいる場合には、その代襲相続人が遺産分割協議に参加し、相続税の申告に関しても代襲相続人が申告書を提出することになります。
- 行方不明者に代襲相続人がいない場合には、行方不明者を除いた共同相続人で遺産分割協議を行い、相続税の申告書を提出することになります。
2)行方不明者のみなし死亡日が被相続人の死亡後のとき
被相続人の相続権をもったまま死亡したという扱いになるため、行方不明者の法定相続人が遺産分割協議に参加することになり、他の共同相続人とともに相続税の申告書を提出することになります。
なお、失踪宣告の手続きには1年以上の期間を要することもあります。相続税の申告期限(10ヶ月以内)に間に合わないことが考えられますので、相続税の申告の実務では注意が必要といえます。
以上、今後のご参考になれば幸いです。
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