相続専門税理士 服部 誠 の「相続情報マガジン」
同時死亡の場合の相続
2023.06.09
親子や夫妻が一緒に旅行しているときに、例えば飛行機事故などに巻き込まれて不幸にも同時に死亡した場合や、死亡時期の先後が不明といった場合に、相続はどうなるでしょうか。今回はこのような「同時死亡」の場合の相続について解説いたします。
家族構成
- 父A(75歳)
- 母B(72歳)
- 長男C(45歳)
- 長男の妻D(44歳)
- 長男の子E(15歳)
- 長男の子F(13歳)
事例
父Aと長男Cが同じ飛行機で移動中、飛行機事故により死亡しましたが、どちらが先に死亡したかが分かりません。このような場合、それぞれの相続税はどのように計算するのでしょうか。
また、父Aの生命保険金の受取人が長男Cになっている場合、保険金の受取人はだれになるのでしょうか。
同時死亡の推定
事例のような飛行機事故の場合には、父Aと長男Cのどちらが先に死亡したのかを明らかにすることは不可能に近いと思われます。このような場合に、民法では次のように「同時に死亡したもの」と規定しています。
民法第32条の2(同時死亡の推定)
数人の者が死亡した場合において、そのうちの1人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。
事例のケースを民法の規定にあてはめますと、父Aと長男Cは同時に死亡したものと推定され、同時に死亡したと推定された者同士の間では、相互に相続しないこととされています。
つまり、父Aの死亡に係る相続税の計算においては、長男Cはすでに死亡している場合と同様に計算することになります。
同様に長男Cの死亡に係る相続税の計算においては、父Aはすでに死亡しているものとして計算することになります。
父Aの死亡に係る相続税の計算
前述の通り、父Aの死亡に係る相続税の計算においては、長男Cはすでに死亡しているものとして計算しますので、法定相続人は父Aの配偶者である母Bと長男Cの代襲相続人である子Eと子F(そろぞれ父Aの孫)になります。
従って、基礎控除額は3000万円+600万円×3人=4800万円、法定相続割合は母Bが1/2、子Eと子Fが各々1/4として相続税の総額を計算することになります。
長男Cの死亡に係る相続税の計算
長男Cの死亡に係る相続税の計算においては、法定相続人は配偶者である妻Dと子E・子Fの3人になります。父Aは長男Cの法定相続人にはなりませんので、長男Cと父Aが同時死亡であっても、長男Cの死亡に係る相続税の計算には影響はありません。
従って、基礎控除額は3000万円+600万円×3人=4800万円、法定相続割合は妻Dが1/2、子Eと子Fが各々1/4として相続税の総額を計算することになります。
父Aの生命保険金の受取人
生命保険に関する規定を定めた保険法には次のように記載されています。
保険法第46条(保険金受取人の死亡)
保険金受取人が保険事故の発生前に死亡したときは、その相続人の全員が保険金受取人となる。
上記条文によると、保険事故の発生(被保険者の死亡)前に保険金受取人が死亡している場合には、その保険金受取人の相続人の全員が保険金受取人になると定められています。
同時死亡のケースでは被保険者(父A)も保険金受取人(長男C)も死亡していますので、その場合も保険法第46条の規定に従って、当初の保険金受取人(長男C)の相続人に保険金を受け取る権利が発生するものとして取り扱われています。
交通事故や火災、自然災害など、起こってほしくないことではありますが、天災や不慮の事故などでは同時死亡が起こり得ることです。
まれなケースではありますが、そのような場合のご参考になれば幸いです。
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