相続専門税理士 服部 誠 の「相続情報マガジン」
初めてでも安心!相続手続きのポイント(9)
2022.07.14
前回の記事、【初めてでも安心!相続手続きのポイント(8)】では「生命保険契約の照会制度」をご紹介いたしました。
今回は、「故人の準確定申告」について解説いたします。
準確定申告とは
個人の所得税の計算は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について計算し、翌年の2月16日から3月15日までの間に申告と納税をすることになっています。
しかし、年の中途で死亡した人の場合は、亡くなった方の相続人が、1月1日から死亡した日までに確定した所得金額および税額を計算して、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をしなければなりません。
このように、亡くなった方の代わりに相続人が所得税の申告・納税を行うことを、準確定申告といいます。
準確定申告が必要な人とは
それでは、準確定申告はどのような場合に必要なのでしょうか。
亡くなった方が次のいずれかに該当する場合には、準確定申告が必要になります。
準確定申告が必要なケース
- 個人事業や不動産賃貸業を営んでいた場合
- 2000万円超の給与収入があった場合
- 2ヶ所以上からの給与収入があった場合
- 主たる給与以外に20万円を超える所得があった場合
- 公的年金以外に20万円を超える所得があった場合
- 生保や損保の満期金や解約金などがあった場合
- 不動産を売却した場合
- 株式等の有価証券を売却した場合 など
なお、上記に該当せず、準確定申告の義務がない場合でも、準確定申告をすることで税金が還付される場合もあります。
以下のようなケースが還付になる可能性があるので、還付される金額を試算しながら申告するかどうかを検討されることをお勧めいたします。
準確定申告を行うことで税金が還付されるケース
- 勤務先で給与に係る年末調整がされていない場合
- 医療費控除や寄付控除が受けられる場合
- マイホーム取得等の住宅ローンがあった場合
- 年金収入について所得税が源泉徴収されていた場合
- 7月、11月の予定納税を納めていた場合 など
準確定申告の期限
準確定申告の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。
「相続の開始があったことを知った日」とは、被相続人が亡くなった日になるケースが殆どだと思いますが、死亡したことを後日に知った場合はその日が基準になるため、実際には4か月超となることもあります。
また、相続の開始を知った日から4か月ではなく、「知った日の翌日」から4ヶ月以内であることにも注意点です。 例えば、被相続人が7月7日に亡くなり、その日のうちに知った場合は、知った日の翌日である7月8日から4か月後の11月7日が準確定申告の申告期限になります。
期限を過ぎてしまった場合は、加算税や延滞税といった追加の支払いが発生する可能性もあるので注意しましょう。
準確定申告の必要書類
準確定申告を行う際、どんな書類を用意する必要があるのでしょうか。
申告の内容によって異なりますが、一般的な準確定申告の必要書類としては次のようなものがあります。
準確定申告に必要な書類
- 故人の源泉徴収票
- 故人の控除証明書
- 故人が負担した医療費の領収証
- 事業を営んでいた場合は事業に係る収入経費の明細
- 不動産賃貸を営んでいた場合は賃貸業に係る収入経費の明細
- 前年分の確定申告書控え
- 所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表 など
準確定申告の手続きのポイント
準確定申告の手続きとそのポイントは以下の通りです。
1)準確定申告書を提出する人
亡くなった方の準確定申告書を提出する場合、相続人が2人以上いる場合には、各相続人が連署により準確定申告書を提出することになります(詳しくは下記の提出書類をご参照ください。)。
つまり、相続人全員の署名(記名)が必要となるため、関係者には事前に連絡をして協力を得ておくことが必要になります。
2)準確定申告書を提出する場所
準確定申告書は亡くなった方の住所地を管轄する税務署に提出します。
3)提出書類
確定申告書(通常は第1表と第2表、必要に応じてその他の申告用紙)に、相続人全員の氏名、住所、被相続人との続柄などを記入した準確定申告書の付表を添付して、所轄税務署に提出します。
申告書の記載例は下記をご参照ください。
相続人等が1人のとき
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kisairei/2020/pdf/014.pdf
相続人等が2人以上のとき
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kisairei/2020/pdf/015.pdf
準確定申告は税理士などの専門家へ
亡くなった方の申告内容を正確に把握することはなかなか難しいものがあります。
しかも4か月という短い期間で申告書の提出まで行わなければなりません。
特に、相続人が2人以上の場合や複数の収入などがある場合は複雑化するため、期限に間に合わず、延滞税が発生してしまうことも。
スムーズな準確定申告を行うためにも、税理士などの専門家へ依頼することをお勧めいたします。
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