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初めてでも安心!相続手続きのポイント(5)

2022.02.18

初めてでも安心!相続手続きのポイント(5)

前回の記事、【初めてでも安心!相続手続きのポイント(4)】では、3つの相続方法と、そのうちの1つ「相続放棄」を中心にご紹介いたしました。
今回は、「それぞれに長所・短所がある遺産分割の方法と手順」を解説いたします。

遺産分割のポイント

相続放棄の必要がないことが確認できて、相続財産の特定ができたら、次は誰がどの財産を相続するか、遺産分割の検討に入ります。
遺産分割とは文字通り、相続人が複数人の場合に遺産(相続財産)を分割して相続することですが、その分割方法は大別して4種類あります。

4つの遺産分割方法

  1. 現物分割
  2. 共有分割
  3. 換価分割
  4. 代償分割

財産には分割しやすいものと分割しにくいものがあり、また、それぞれの分割方法にはメリット・デメリットがあります。

4つの遺産分割方法の違いとメリット・デメリット

4つの遺産分割方法の違いとメリット・デメリット

4つの遺産分割方法は、それぞれどんな違いがあるのでしょうか。
分割方法の内容とメリット・デメリットを見ていきましょう。

(1) 現物分割とは

現物分割とは、財産の現物を分ける方法です。

単純に自宅などの不動産は配偶者、自社株は後継者の長男、現金や有価証券は配偶者、長男、長女でバランス良く分割というように、できるだけトラブルのない形で分割します。

(2) 共有分割とは

共有分割とは、現物分割に位置付けられるものですが、複数の相続人が共同で引き継ぐ方法です。

たとえば不動産など、ある程度大きな額になる財産を共同で相続する際に使用します。
一見、遺産の形態はそのままであり、仲よく引き継いだように見えますが、相続後に財産を処分したいという相続人が出てきた場合には、簡単に処分することができないため、自由度の低い分け方となってしまいます。

さらに、共有分割で取得した人が他界して新たな相続が発生すると、所有者の権利関係が複雑になります。
そのため、トラブルの起きにくい遺産分割の観点からは、あまりお勧めできる方法ではありません。

(3) 換価分割とは

換価分割とは、故人の財産を売却してお金に換え、相続人の間で現金を分割する方法です。

相続財産が不動産や有価証券などの分割しにくい財産である場合に、公平に分ける方法として利用される方法です。
故人の自宅の土地・家屋で、相続人の利用予定がなく空き家になってしまうケースなども、この換価分割がよく利用されます。

一方で、換価分割するためには相続人全員が合意して協力し、遺産の売却手続きを進めなければならず、売却のための諸費用や売却後の税金(所得税・住民税)なども考慮に入れなければなりません。
また、相続税の納税資金に充てたい場合には、相続財産を短期間で売却しなればならず、希望の価額で売却できないケースも生じたりします。

(4) 代償分割とは

代償分割とは、特定の財産を相続人の一人が取得する代わりに、その財産を取得した相続人が、他の相続人に対して代償金を支払うことで精算する分割方法です。

典型的な例は不動産でしょう。
不動産の場合には、共有分割のように共同で相続することも可能ですが、後になってトラブルの原因になることも少なくありません。
そのような場合、相続人の一人が不動産を単独で相続し、他の相続人にはその不動産を取得することによる超過分を代償金として支払うことでバランスをとる分割方法が、この代償分割になります。

ただし、単独で取得する財産の価額が大きい場合は、他の相続人に渡す代償金も高額になるため、代償分割を選択する場合には、生前に代償金の準備対策を行っておくことも必要になります。

遺産分割は遺言書の有無で話し合い方法が異なる

遺産分割は遺言書の有無で話し合い方法が異なる

遺産分割の際には、さまざまな分割方法を参考にしながら、相続人全員が集まって具体的な方法を話し合うことになりますが、その話し合いは、遺言書の有無によって変わります。

(1)遺言書がある場合

故人が作成した有効な遺言書がある場合には、原則として遺言書に記載されたとおりに遺産分割を行っていきます。

しかし、民法には、遺留分という『故人の兄弟姉妹を除く法定相続人を対象とした、法律で保障される最低限度の遺産取り分』が存在します。
遺言書に記載された通りに遺産を分割した場合に、一部の相続人の遺留分を侵害してしまうと、遺留分を侵害された相続人から、遺留分侵害額請求をされるケースもあり得ます。

また、自筆証書遺言の場合は、財産の表記や分け方が不明なために、遺言そのものが無効となってしまうケースもないわけではありません。
もし、そのような場合は、相続人全員で話し合い、遺産分割の方法を明確にしていく必要がありますし、遺言書に書かれていない財産がある場合も相続人全員で話し合って分割方法を決定する必要があります。

(2)遺言書がない場合

故人が遺言書を作成していなかった場合には、相続人全員で遺産分けの方法を話し合って決めることになります。
その話し合いで決定した内容を遺産分割協議書として作成し、その協議書に沿って実際に遺産分割を行います。

もし、話し合いが不調に終わり、遺産分割協議書が作成できない(相続人全員の署名・押印が得られない)場合は、家庭裁判所に出向いて遺産分割調停の手続きを申し立てることになります。
遺産分割調停とは、裁判官と調停委員による調停委員会が、中立公正な立場で申立人と相手方の言い分を平等・公平に聞き、調整や具体的な解決策の提案などを行って、円満に解決できるよう斡旋する手続きです。

遺産分割調停についての詳細は、下記サイトをご参照ください。

遺産分割調停について-最高裁判所サイト

https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_12/index.html

遺産分割は将来を見据えた選択が大切

今回ご紹介したように、遺産分割には4つの方法がありますが、後のトラブルを未然に防ぐ観点からは、故人の財産はできるだけお金に換えて分割するのが理想といえます。
しかし、現実にはそう単純ではありません。

最初は、「この方法で分けよう」と皆で決めたものの、その後においてトラブルになる場合もあります。
遺産分割の際には、相続の専門家に相談のうえ、将来を見据え選択を行うようにしましょう。

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